51 勤務条件に関する措置要求

地方公務員法

1 概 要
①職員は、給与、勤務時間等に関し、人事委員会または公平委員会に対して、地方公共団体に適当な措置を執るよう要求できる。
②措置要求の対象となるのは、給与、勤務時間その他の勤務条件に関すること。

2 勤務条件に関する措置要求とは
職員は、給与、勤務時間その他勤務条件に関し、人事委員会または公平委員会に対して、地方公共団体に適当な措置を執るよう要求することができます(地公法46条)。これを勤務条件に関する措置要求といいます。

こうした制度が設けられている理由は、2つあります。1つは、職員の勤務条件は条例によって決まるため、勤務条件が維持・改善するため条例の制定等を行うよう、地方公共団体に働きかける必要があるからです。

もう1つは、民間企業と異なり団体協約締結権がないため、それに代わる措置が必要なためです。こうした理由から、中立的立場にある人事委員会・公平委員会に対し勤務条件に関する措置要求を行うことができるのです。

3 措置要求権者
措置要求を行うことができるのは職員ですが、これには一般職の職員、臨時的任用職員、条件付採用職員を含みますが、特別職は含みません。また、職員に認められたものですので、個々の職員はもちろんのこと、職員が共同して要求することもできます。

しかし、職員ではない職員団体や退職者は要求することはできません。

4 措置要求の内容
職員が要求できるのは、給与、勤務時間その他の勤務条件に関することとなります。勤務条件とは、職員が地方公共団体に対し勤労を提供するについての存する諸条件で、職員が自己の勤務を提供し、またはその提供を継続するかどうかの決心をするにあたり一般的に当然考慮の対象となるべき利害関係事項とされています。

具体的には、給与、旅費、勤務時間、休日、休暇、部分休業、執務環境、福利厚生、安全衛生などがあります。職員は職員の地位がある限り措置要求ができますので、転勤などにより過去のものとなった勤務条件や、他の職員の勤務条件についても措置要求できるとされています。

また、措置要求できない事項としては、職員の勤務条件には該当しないものとなります。例えば、職員定数の増減、予算の増額、行政機構の改廃、条例の提案、勤務成績の評定制度などは措置要求の対象となりません。

5 措置要求のしくみ
 措置要求は、以下のような手順で実施されます。
①職員による措置要求
 人事委員会または公平委員会の規則により、職員は書面により措置要求を行います。

②措置要求の審査・判定
 人事委員会または公平委員会は、口頭審理その他の方法により審査を行います。審査後の判定としては、要求の全部または一部を認める、またはすべてを認めない、のいずれかとなります。

③判定に基づく勧告など
 人事委員会または公平委員会は、判定の結果に基づいて、その権限に属する事項については自らこれを実行します。人事委員会または公平委員会に属さない事項については、当該事項について権限を有する地方公共団体の機関に対し必要な勧告を行います。
 
 人事委員会が自ら措置するものとしては、人事委員会規則で定めている初任給、昇格および昇給の基準などがあります。

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