50 公務災害補償

地方公務員法

1 概 要
①公務災害補償とは、職員が公務上または公務のための通勤途上で負傷、疾病、死亡などの災害を受けた場合に補償を行うもの。
②公務災害と通勤災害とに区分できる。

2 公務災害補償とは
公務災害補償とは、職員が公務上または公務のための通勤途上で負傷、疾病、死亡などの災害を受けた場合に補償を行うものです。地公法45条では、この公務災害補償について規定しており、この規定に基づき地方公務員災害補償法が整備されています。

地方公務員の災害補償制度の特徴は3点あります。

第一に、公務上の災害だけでなく、通勤途上の災害も対象としている点です。つまり、公務災害と通勤災害の2つに区分することができます。まず、公務災害として認定されるには公務起因性(災害と公務との間に一定の因果関係が存在すること)と公務遂行性(職員が任命権者の支配下で、現に公務に従事している状態であること)が必要とされています。

また、通勤災害については、公務の遂行と通勤が密接不可分の関係にあるため、通勤と災害との間に因果関係があれば良いとされています。職員が勤務のために住居と勤務場所との間を合理的な経路および方法により往復することに起因する災害が、通勤災害となります。

第二に、使用者側の無過失責任主義です。これは、職員が災害を受けたことについて、地方公共団体の故意や過失があるかどうかは関係ないということです。

第三に、年金制度を採用することにより、被災者の将来の生活を考慮した社会保障的な性格を持っていることです。

3 公務災害補償制度のしくみ
この公務災害補償制度により、療養などに要する現物給付や費用支給が行われます。また、所得の喪失に対する補償という観点から、一定額の支給も行われます。

これらの補償は、地方公務員災害補償基金が実施します。この基金は、職員の公務災害補償と被災職員およびその遺族の福祉事業を実施することを目的として設立された法人で、地方公共団体は毎年一定の負担金を納めています。迅速・公正な補償の実施を目的として、この基金が設置されています。

職員が災害を受けた場合は、地方公務員災害補償基金に対し請求し、基金が認定・支給することとなります。また、任命権者も基金に対し意見をいうとともに、基金は任命権者に認定結果を通知します。

なお、この制度の適用範囲は、一般職・特別職のどちらも含み、常勤・非常勤を問わず、ほとんどすべての地方公務員に適用されます。

4 公務災害補償の種類
公務災害補償の主なものには、以下のようなものがあります。

①療養補償
 職員が公務または通勤により生じた傷病に対して必要な療養を行うものに支給

②休業補償
 職員が公務または通勤による災害に基づく負傷、疾病の療養のため勤務できない場合で給与が支給されないときに支給

③傷病補償年金
 職員が公務または通勤により負傷、または疾病にかかり、療養の開始後1年6か月を経過した日またはその日以降において一定の要件を満たす場合に支給

④障害補償
 職員が公務、通勤により負傷し、または疾病にかかり治療したが、その後障害等級表で定めるような障害が残っている場合に支給。

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