26 給与以外の勤務条件

地方公務員法

1 概 要
給与以外の勤務条件には、均衡の原則と条例主義の2つの原則がある

2 給与以外の勤務条件とは
勤務条件の中心は給与となりますが、給与以外の勤務条件も重要な事項です。具体的には、勤務時間、週休日、休日、休暇などがあります。

この給与以外の勤務条件については、均衡の原則と条例主義の2つの原則があります。

3 均衡の原則
職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当っては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払わなければならない(地公法24条4項)とされています。給与についても、同条2項で均衡の原則が謳われていますが、給与との違いとして2点が指摘されています。

1つは、給与については民間事業の従事者の給与を考慮することとされていますが、勤務時間などについてはそのことは規定されていないことです。

もう1つは、給与については「考慮して定め」とされているのに対し、勤務時間などについては「権衡を失しないように適当な考慮が払わなければならない」とより強い表現がとられていることです。ただし、いずれについても給与と同趣旨と解されています。

4 給与条件以外の勤務条件の留意点
給与以外の勤務条件の留意点として次の3点があります。

第一に、人事委員会の勧告制度です。人事委員会は、情勢適応の原則に従い、給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように適当な措置を講じるとともに、そのために議会や長に勧告するこことができます(地公法14条)。

人事委員会は、勧告以外にも
①勤務時間などについて研究を行い、その成果を長などに提出すること(地公法8条2項)
②勤務時間などに関する条例の制定改廃について長などに意見を申し出ること(地公法5条2項、8条1項3号)
③勤務時間などに関する勤務条件の措置要求を審査すること(地公法46~48条)
などを通じて勤務時間などの維持改善に関する権限を有していますが、勧告により、より積極的にその役割を果たすことになります。

第二に、勤務時間などについては、ほとんど全面的に労働基準法の適用を受けることです。適用が除外されているのは、フレックスタイム、1年単位の変形労働時間制、週単位の非定型変形労働時間制、事業場外労働に関する協定、裁量労働、年次有給休暇の計画的使用などの規定です。

第三に、企業職員および単純労務職員並びに独立行政法人職員には、均衡の原則を定める地公法24条4項は適用されないことです。企業職員および単純労務職員にはこれに相当する定めはありませんが、独立行政法人職員に関しては、職員の勤務時間、休憩、休日及び休暇についての規程は「国及び地方公共団体の職員の勤務条件その他の事情を考慮したものでなければならない」(地独行法52条2項)とされています。

5 条例主義
職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例でこれを定める(地公法24条5項)とされています。これは「条例主義」、「勤務条件法定主義」ともいわれます。

これは、職員の身分保障を確実なものにすると同時に、住民に対し明らかにすることを目的としています。勤務時間などを職員の権利として法令で保障することは、住民の負担や利便につながります。このため、住民の代表である議会の意思決定によるものとしているのです。

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