55 職員団体の登録

地方公務員法

1 概 要
①職員団体は、申請書と規約を添えて、人事委員会または公平委員会に登録を申請することができる。
②登録職員団体が一定の要件の要件に該当すると、登録の資格を失う。

2 職員団体の登録とは
職員団体は、申請書と規約を添えて、人事委員会または公平委員会に登録を申請することができます(地公法53条1項)。これは、人事委員会または公平委員会が、その職員団体が一定の要件に適合していることを確認し、公に証明する制度といえます。この登録の目的は、地方公共団体の労使関係の特殊性を考慮して、正常な交渉と労使関係を確立することにあります。

申請書には理事その他の役員の氏名及び定める事項を、規約には①名称、②目的および業務、③主たる事務所の所在地、④構成員の範囲およびその資格の得喪に関する規定、⑤理事その他の役員に関する規定、⑥業務執行・会議・投票に関する規定、⑦経費および会計に関する規定、⑧他の職員団体との連合に関する規定、⑨規約の変更に関する規定、⑩解散に関する規定、を記載します。

なお、職員団体を登録することのメリットとして次の3点があります。
①当局に交渉の応諾義務を課すことができる
 登録職員団体から交渉の申入れを受けたときは、当局はこれに応じなければなりません。

②在籍専従職員の許可を得ることができる
 登録職員団体は、職員の身分を保有したまま、職務専念義務を免除して職員団体の役員の業務に専従させることができます。

③法人格の取得
 法人格を取得すると、契約を締結できるなど経済活動で有利な面があります。

3 登録効力の停止・取消
登録職員団体が一定の要件の要件に該当すると、登録の資格を失います。また、人事委員会または公平委員会は、条例で定めるところにより、登録職員団体の登録の効力の停止または登録の取消しをすることができます(地公法53条6項)。具体的には、以下のとおりです。

①職員団体でなくなったとき
 職員団体の主たる目的が勤務条件の維持改善以外のものに変更した、管理職員等と一般職員が同一の職員団体に加入した、連合体である職員団体に労働組合が加入した、などのケースです。

②規定に適合しない事実があったとき
 職員団体の規約が変更されて違法な行為を目的とした、役員の選挙その他の重要な行為が所定の過半数を得ないで行われた、非職員が構成員となった、などのケースです。

③規約・申請書の記載事項の変更の届出をしなかったとき
 組合大会で規約改正の議決がなされたにもかかわらず届出がなかった、従たる事務所を新設したのに届出がなかった、などのケースです。
 
上記①・②は登録職員団体として存続するための要件ですので、是正されないと登録の取消しとなります。

登録の取消しは、職員団体にとって大きな影響を与えますので、手続き等が別途定められています。具体的には、あらかじめ理由を示して聴聞を行わなければなりません。また、当該職員団体から請求があったときは、その聴聞の期日の審理は公開しなければなりません。

実際の登録の取消しは文書で行われることとなりますが、文書で通知したからといってすぐに取消しになるものではありません。当該処分の取消しの訴えを提起できる期間内は効力が生じません。また、訴えの提起があったときは、当該訴訟が裁判所に係属する間も効力は生じません。

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