52 不利益処分に関する審査請求①

地方公務員法

1 概 要
①不利益処分に関する審査請求制度は、職員に安定した地位を確保し、もって公務能率の増進を図ろうとするため。
②任命権者が職員に不利益処分を行う場合は、職員に処分事由を記載した説明書を交付する。

2 不利益処分に関する審査請求制度
(1)制度の目的
職員に対する不利益処分について審査請求の制度が設けられている理由は、制度を確立することにより、職員に安定した地位を確保し、もって公務能率の増進を図ろうとするためです。

(2)不利益処分に関する説明書の交付
任命権者が職員に不利益処分を行う場合は、職員に処分事由を記載した説明書を交付しなければなりません(地公法49条1項)。また、職員が不利益処分を受けたと思うときは、任命権者に説明書の交付を請求することができ、任命権者は15日以内に説明書を交付しなければなりません(地公法49条2項、3項)。

処分説明書は、2つの役割があります。1つは、処分を受けた職員にその理由を明示することです。もう1つは、職員に不服があるときは、人事委員会または公平委員会に審査請求ができることを通知することです(地公法49条4項)。この制度を教示といいますが、この際あわせて審査請求できる期間についても記載する必要があります。

審査請求できる期間は、処分があったことを知った日から起算して3月以内で、処分があった日の翌日から起算して一年を経過すると審査請求はできません(地公法49条の3)。仮に職員が処分のあったことを知らなかった場合、あるいは処分のあったことを後から知った場合でも、処分があった日の翌日から起算して一年を経過すると審査請求をすることはできません。

3 人事委員会・公平委員会の審査・措置
職員から審査請求を受理したときは、人事委員会・公平委員会は直ちにその事案を審査しなければなりません(地公法50条1項)。審査の方法は、書面審理または口頭審理となりますが、処分を受けた職員から請求があれば口頭審理を行わなければなりません。

また、その職員が口頭審理を公開することを請求すれば、公開して行う必要があります。そして、審査請求に対する裁決を行うこととなります。

審査の結果、当該不利益処分について承認・修正・取消の措置を講じることとなります。また、必要があれば是正の措置をすることができます。これは、任命権者にその職員の受けるべきであった給与その他の給付を回復するため、必要かつ適切な措置をさせるなど、その職員が当該処分によって受けた不当な取扱いを是正することを指します。

4 委任・規則
人事委員会・公平委員会は、最終的な審査請求の裁定を除き、審査請求の事務の一部を委員または事務局長に委任することができます(地公法50条2項)。

また、審査請求の手続・審査の結果執るべき措置に関し必要な事項は、人事委員会規則・公平委員会規則で定めなければなりません(地公法51条)。

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