45 職員の賠償責任 

地方自治法

<ポイント>
①職員の賠償責任とは、職員が会計などで自治体に損害を与えた場合、民法上の責任ではなく、地方自治法上の特別の責任を負うこと。
②賠償責任の要件は2種類がある

1 職員の賠償責任とは
職員の賠償責任とは、職員が会計などで自治体に損害を与えた場合、民法上の責任ではなく、地方自治法上の特別の責任を負うこと。

このような規定があるのは、公務員が私法上の雇用関係ではなく、法律に基づき勤務しているため。

ただし、この地方自治法上の職員の賠償責任に該当しない場合、民法上の責任を負うこともある。

2 賠償責任の要件
賠償責任の要件は、次の2種類がある。いずれの場合も、損害が2人以上の職員の行為による場合は、それぞれの職員がその職分と損害発生の原因となった程度に応じて賠償責任を負う。

(1)ケース1(会計職員等)
①対象者
 ア 会計管理者
 イ 会計管理者の事務を補助する職員
 ウ 資金前渡を受けた職員
 エ 占有動産を保管している職員
 オ 物品を使用している職員

②行為
故意又は重大な過失(現金は、故意又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む)若しくは占有動産又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したとき

(2)ケース2(予算執行職員等)
①対象者
予算執行に関し、次に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で規則で指定した者
 ア 支出負担行為
 イ 支出命令・支出命令の確認
 ウ 支出又は支払い
 エ 契約履行の確保のための監督又は検査

②行為
故意又は重大な過失により、法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠ったことにより、自治体に損害を与えたとき

3 賠償等の手続き
賠償等の手続きは、以下のように行われる。
①賠償責任の対象となる行為の発生
②長は行為を認定し、監査委員に対して監査を請求する
③監査委員は監査を行い、賠償責任の有無・賠償額を決定し、長に報告する
④長は、当該職員に対して期限を定めて賠償命令を行う

ただし、長は、当該職員からなされた当該損害が避けることのできない事故その他やむを得ない事情によるものであることの証明を相当と認めるときは、議会の同意を得て、賠償責任の全部又は一部を免除することができる。

この場合、あらかじめ監査委員の意見を聴き、その意見を付けて議会に付議しなければならない。

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