42 見える化で共通認識を持つ

問題解決のためのフレームワーク

1 お悩み
4月から、広聴部門の係長となりました。毎日、多種多様な相談が寄せられており、係員には豊富な知識が求められています。この3月まではベテラン職員がいたのですが、定年となってしまいました。このため、係員は業務に不安を抱えています。どうしたら良いでしょうか。

2 解決法
組織に蓄積するノウハウを「見える化」しましょう。

「見える化」とは、組織の様々な活動を具体化して、客観的に把握できるようにすることです。「目で見える管理」の意味で、トヨタ自動車の業務の改善活動の観点として生まれました。「可視化」とも言われます。

具体的には、業務のプロセスなどのマニュアルを作成したり、図示したりして職員の認識を共有します。これにより、個人の思い込みや誤解を避けることができます。

お悩みのように、長年ベテラン職員に頼っていたり、前例踏襲で業務を行っていたりすると、職員が誤った認識を持ってしまうことがあります。このため、ベテラン職員がいなくなってしまうと、職場が混乱してしまうのです。特定の個人の力量に頼らずに、確実に組織にノウハウを蓄積するためには、「見える化」は欠かせません。

また、マニュアル作成など「見える化」を実現するまでの過程も貴重な機会です。各人が知識を持ち寄り、マニュアルを完成することは良い人材育成になりますし、チームワークの醸成にもつながります。

係長や課長は、このようなメリットがあることを踏まえ、職員に「見える化」を指示することも必要です。

3 活用例
①マニュアルの作成
例えば、毎年行うイベントについて、企画、関係団体との調整、会場設営、終了後のアンケート集計など、一連の流れと各作業の手順や注意点などをまとめてマニュアルにします。これにより、異動で職員が入れ替わっても、同じ成果を出すことができます。もし、変更点や追加する事項があれば、マニュアルを改訂すれば、常に最新情報が掲載されます。

②共有フォルダの活用
個人の持つ情報を、組織のメンバー全員で共有して、業務に活かすことも「見える化」です。例えば、お悩みのように相談業務をマニュアル化する以外に、マニュアルにない新たな相談については、係の共有フォルダ内の専用ファイルに書き込み、それを係全員で見られるようにしておきます。これにより、係員は常に情報を共有できます。

4 ワンポイントアドバイス
「見える化」には、これまで言語化してこなかった経験則や知識を明らかにするという側面もあります。

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