58 問題発見の視点② 議会からの指摘 

問題解決のためのフレームワーク

執行機関からすると、議決機関である議会は、常に問題提起をしてくれる機関です。住民代表である議員は、住民の投票によって選ばれていますので、住民のニーズや動向に非常に敏感です。

例えば、特定地域を地盤としている議員であれば、その地域で発生したトラブルがあれば、すぐに自治体に状況を確認してきます。また、町会・自治会、PTAなどの関係者の意見を常に注視していますので、議会の委員会などでそうした関係者の意見を代弁することも少なくありません。

こうした議会からの指摘については、どのような点に注意すべきでしょうか。

第一に、本会議や委員会における質問や意見です。本会議・委員会における発言は、正に公式発言ですから、議員にとっては最も重要なものとなります。このため、自治体としても重く受け止めることは当然なのですが、管理職ではない一般職員の中には、あまり気にしてない職員もいます。

しかし、やはり自分の事業に関係するものなどについては、本会議録や委員会記録でチェックしておきたいものです。

第二に、SNSやPR紙など、議員または会派が発行する広報媒体です。現在、多くの議員が自分のサイトを持っていたり、SNSで情報発信したりすることが多くなってきました。例えば、新型コロナウイルス感染症が話題となった時は、いかに自治体が発する情報を自分のサイトなどに掲載するか、議員間の競争のようになっていた事態も発生しました。

このため、注目する議員のSNSをチェックしたり、リアルタイム検索をしたりすることも、問題発見につながります。

第三に、議員との直接の会話です。これは、実際には管理職でないと難しいかもしれませんが、議員の本音は、やはり直接話さないとわからないことがあります。例えば、先の本会議や委員会の発言やSNSの内容も、住民にアピールするための内容であって、議員本人はそのように考えていないということも実際にあります。

それは、住民の代表である議員のつらいところかもしれませんが、この本音と建て前が違うことも、職員としてはおさえておきたいポイントです。

なお、一般的に議会内では会派が結成されます。会派とは、同じような思想・信条を持つ議員のグループですが、人数が多いほど委員長ポストなど役職が獲得しやすいなどのメリットがあります。こうした会派の中には、国政政党と強いパイプで結ばれている会派もあります。

こうした会派では、国政の問題であっても、議会で取り上げることもありますので、職員としては国政の動向などにも注意する必要があります。

また、議会を考える場合、首長から見て与党か野党かは、大事なポイントです。例えば、誰もが必要な事業と思っていても、それが野党会派から提案されると、首長としては実現には二の足を踏んでしまいます。このように、議員個人でなく、会派という視点も大事になります。

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