55 問題とは何か② 本当に解決すべき問題は何か 

問題解決のためのフレームワーク

実際の職場では、トラブルは1つだけでなく、同時に複数発生することがあります。このような時、「どれを問題として設定するか」という視点が重要となります。これも、事例で考えてみたいと思います。

<事例>
地域振興課は、市内で実施される各地区まつりを所管している。いずれの地区まつりもオープニングセレモニーの企画・調整・実施は地域振興課が担当し、その他の業務は各町会が主体となっている。しかし、今年度は担当者が変更したこともあり、セレモニーの内容がなかなか決まらないでいた。

ある日、町会長代表から課長に電話があり、「いつになったら、セレモニーの内容が決まるのか。先月までに案を示すと担当者は言ったのに、まだ連絡もなく、お詫びもない」と怒鳴った。続けて、議員からも電話が入り、「セレモニーの件で、町会長たちは怒っている。いつも、地域振興課は町会とトラブルを起こしており、今度の議会で追及する」と言ってきた。

さて、この事例でも「解決すべき事項やトラブル」はいくつか指摘できます。
①町会長たちの話を聞いた議員は地域振興課の対応に不満を持っている
②町会長代表は、職員のお詫びがないと怒っている
③町会長代表はセレモニーの案が示されないことを不満に感じている
が読み取れます。

ところで、この①~③の問題を時系列で考えると、「担当者が案を示さない」→「町会長代表が不満を持つ」→「町会長たちの話を聞いた議員が怒る」となります。つまり、この事例のそもそもの問題は、「担当者が案を示さない」ことにあります。このため、慌てて課長が町会長や議員に謝罪をしても、セレモニーの案を示されなければ、いつまでも問題は解決しないことになります。

このことは、「何を問題として設定するか」が重要であることを示しています。事例でいえば、「町会長や議員の苦情に対応する」ことは二次的な問題であり、「案を示す」という一次的な問題を解決することが最重要となります。単に謝罪にいくだけで、案を示すことがなければ、いつまでも事態は正常化しません。さらに、事態が悪化する負の連鎖(スパイラル)を生んでしまうかもしれません。

二次的な問題への対応をいくら行っても、根本である一次的な問題に着手しない限り、決して問題は解決しないのです。

なお、この問題の設定は時系列以外の事例でも起こります。例えば、自治体財政の悪化している場合、①歳入が少ない(税収が少ないなど)
②無駄な歳出が多い(類似の事業が行われているなど)
③預金が足りない(基金残高が少ない)
④借金が多い(起債残高が多い)
などいくつかの問題が考えられます。

この場合、一度にすべての問題を解決することは困難ですから、何から着手するのか、つまりどれを最重要の問題と設定するのかが、問われてきます。このように、問題の設定は重要な視点です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました