21 長の地位と権限

地方自治法

<ポイント>
①地方公共団体の長として、都道府県知事・市長村長が置かれる
②長には、統轄・代表権などの権限がある

1 長の地位
(1)地位
地方公共団体の長として、都道府県知事・市長村長が置かれる。

長は、他の執行機関を所轄し、それらを調整する権限が与えられているので、地方公共団体の主たる執行機関たる地位にあると言える。

(2)身分の得喪
長は、住民の選挙によって選ばれる。任期は4年。

被選挙権は、都道府県知事は年齢満30歳以上、市町村長は満25歳以上の者。

長の身分を喪失する事由としては、任期満了、退職、選挙無効・当選無効の確定、兼職兼業禁止に抵触、被選挙権の喪失、死亡、議会による不信任議決などがある。

(3)長の兼職兼業の禁止
長の兼職禁止の例として、以下のようなものがある。
衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員並びに常勤の職員及び短時間勤務職員、教育委員会の教育長及び委員、人事委員会・公平委員会の委員、監査委員、選挙管理委員。

長の兼業禁止として、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人、又は主として同一の行為をする法人の役員等になることができない。

2 地位の権限
長の権限には、以下のようなものがある。
(1)統轄・代表権
長は当該地方公共団体を統轄し、これを代表する。統轄とは、自治体の事務全般について、長が総合的統一を確保する権限を有すること。

(2)事務の管理・執行権
長は、自治体の事務を管理・執行する。この主な内容は、以下のとおり(自治法149条)。
①議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。
②予算を調製し、及びこれを執行すること。
③地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。
④決算を普通地方公共団体の議会の認定に付すること。
⑤会計を監督すること。
⑥財産を取得し、管理し、及び処分すること。
⑦公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。
⑧証書及び公文書類を保管すること。

(3)総合調整権
執行機関は、長の所轄の下に相互の連携を図り、すべて一体として行政機能を発揮するようにしなければならないとされている。このため、長には総合調整権がある

(4)規則制定権
法令に違反しない限り規則を制定できる

(5)職員の任免権及び指揮監督権
副知事、会計管理者など

(6)事務組織権
事務を分掌させるため、必要な組織を設置できる

(7)所管行政庁の処分の取消及び停止権
管理する行政庁の処分が法令等に違反する時は、取消・停止ができる

(8)公共的団体等の監督権
区域内の公共的団体等の活動の総合調整を図るために指揮監督ができる

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