9 議員の定数と地位等 

地方自治法

<ポイント>
①議員の定数は、条例で定める
②議員がその身分を失う事由には、任期満了、選挙無効・当選無効の確定などがある
③議員には、一定の範囲で、兼職・兼業が禁止されている

1 議員定数
議員の定数は、条例で定める(自治法90,91条)。

かつては、人口規模別に議員定数の上限が定められていた。しかし、議会制度の自由度を高めるため、自治体の自主的な判断に委ねるという地方制度調査会の答申に基づき、2011年の地方自治法の改正に伴って廃止された。

2 議員の地位等
(1)議員の身分
選挙の当選人の告示の日に議員としての身分を得る。議員の任期は4年。ただし、補欠議員の任期は、前任者の残任期間となる。

議員がその身分を失う事由は、次のとおり。
①任期満了
②選挙無効・当選無効の確定
③被選挙権の喪失
④兼職兼業禁止職への就任
⑤辞職(ただし、議会もしくは議長の許可が必要)
⑥議会による除名
⑦直接請求による解職
⑧議会解散

(2)議員の兼職禁止
議員の職務遂行に支障が生じるおそれがあるなどの理由から、一定の範囲で、議員には他の職を兼ねることが禁止されている(自治法92条等)。

兼職禁止の範囲は以下のとおり。
①国会議員(国の政争が地方に影響を与えるなどの理由から)
②他の地方公共団体の議会の議員(ただし、一部事務組合は除く)
③当該地方公共団体の常勤・短時間勤務の職員、行政委員会などの委員等(権力分立の視点から問題があるため)

(3)議員の兼業禁止
議員の兼業禁止とは、議員に対して、一定の経済的ないし営利的業務が制限されること。これを一般に、請負の禁止という(自治法92条の2)。

その理由は、地方公共団体から委託された事業を行うなど、直接の利害関係者(請負人本人、もしくは請け負う法人の取締役など)であると、住民の疑惑や不信を招いてしまうため。

兼業禁止の範囲は、以下のとおり。
①議員個人が、当該地方公共団体に対し請負をすること
②議員個人が、当該地方公共団体に対し請負をする者の支配人となること
③議員が、当該地方公共団体に対し主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、監査役、これらに準ずべき者、支配人、清算人になること

なお、2022年12月の地方自治法の改正により、地方公共団体から業務を請け負う個人事業主については、年間取引額が300万円以下までなら議員との兼業が可能となった。これは、仕事を続けたまま立候補しやすくし、地方議員のなり手を確保することがねらい。

(4)政務活動費
地方公共団体は、条例で定めれば、調査研究その他の活動に資するために必要な経費の一部として、会派又は議員に対し、政務活動費を交付できる(自治法100条14項)。

条例には、①政務活動費の交付対象、②交付額、③交付方法、④政務活動費を充てることができる経費の範囲を定める必要がある。

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