1 概 要
①会計年度とは、ある一定期間を定め、収支の経理を明確にする期間のことで、4月1日から翌年の3月31日までのことをいう。
②会計年度が終了する3月31日の翌日、4月1日から翌月の5月31日を出納整理期間という。
③出納整理期間は、前年度の現金の未収未払を整理する期間。
2 会計年度と出納整理期間
会計年度は、収支を経理するための一定の期間です。このため、自治体では、当該年度の始まる前に当初予算を編成します。例えば、令和4年度予算とは、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの収支の見積もりを示します。
しかし、令和5年3月31日で、4年度予算の収支がすべて完結するわけではありません。5年4月1日から5月31日は出納整理期間として、4年度の未収未払の現金を整理する期間を設けています。
つまり、4年度の支払い分を5年4月に支払うというものです。例えば、令和5年3月分の支払いが4月になって送付されたため、4月に4年度分を支払うというようなものです。この出納整理期間がないと、こうした遅い請求などに対応することができなくなってしまいます。
また、反対に言えば令和5年5月31日で4年度予算の執行が終わりますので、4年度決算が明確になります。4年度予算は見積もり(予定)ですが、4年度決算は4年度における収支の実績です。
ところで、なぜそもそもこの会計年度という制度が存在するのでしょうか。それは、この会計年度がないと、収支の対比が不可能となってしまうからです。ある年は1月1日から12月31日、別な年は4月1日から3月31日では、年度により比較することができません。また、そうした恣意的な期間設定では、健全な財政運営が困難となってしまいます。
この会計年度は自治法208条1項に、出納整理期間は自治法235条の5に規定されています。
3 会計年度独立の原則
「予算の原則」の中の1つが、会計年度独立の原則です。
これは、それぞれの会計年度における歳出の財源は、その年度の歳入を充てなければいけないという原則です(自治法208条2項)。会計年度として一定の期間を定めているのですから、この期間内の歳入と歳出は、その中で整理するということです。今年度の支出をするのに、来年度の収入で充てたり、今年度の支出を来年度に持ち越して支出したりすることはできません。
ただし、この原則には以下のような例外があります。
①継続費の逓次繰越(自治法施行令145条1項)
②繰越明許費(自治法213条)
③事故繰越(自治法220条3項)
④過年度収入及び過年度支出(自治法施行令160条、165条の8)
⑤歳計剰余金の繰越(自治法233条の2)
⑥翌年度歳入の繰上充用(自治法施行令166条の2)
これらの例外は、会計年度独立の原則を堅持すると、かえって浪費を招いたり、非効率なことが生じたりするためです。
コメント