1 お悩み
児童課では、2年に1度、「子育てガイドブック」を作成しています。来年度の予算要求では、前回同様の要求額で提出したのですが、財政課の担当者からは「同額の理由は?」と聞かれて困ってしまいました。市内の児童人口はここ数年変わっていないため、前回と同様の要求額にしたのですが、「それでは、根拠が曖昧だ」と言うのです。どのように説得すれば、納得してもらえるでしょうか。
2 解決法
相手に納得してもらうため、ピラミッドストラクチャーで体系化しましょう。
ピラミッドストラクチャーは、相手に納得してもらうための手法です。相手に訴えたい「主張」をピラミッドの頂点に置き、その下に「なぜ、そうなの?」とつっこみを入れて、「主張」の「根拠」を複数置きます。それぞれの「根拠」の下には、さらに「なぜ、そうなの?」とつっこみを入れて「根拠」の「根拠」を複数置きます。
このような作業を繰り返すことで、「主張」を裏付ける「根拠」がピラミッド型になり、論理的な構造となります。ピラミッドが完成すれば、今度は底辺から「だから、何?」とつっこみを入れ、一段高い「根拠」もしくは最後の「主張」が妥当であるかを検証します。これにより、上から下、下から上も論理構造になっていることが確認できますので、「根拠がない」、「論理的飛躍だ」などの批判を避けることができます。
お悩みであれば、ガイドブックの必要性について明確な説明が求められます。前回の配布数や今回の配布対象世帯数を示すのはもちろんのこと、前回と今回の違いは何か、今回の配布対象数の理由は何かなど、さらに「根拠」の「根拠」も理論武装しておく必要があります。
3 活用例
①数値を活用する
予算要求を通すためには、できるだけ客観的な根拠が求められます。根拠がなければ、財政課担当者は財政課長などに査定理由を説明できません。
そこで、データや統計などの数値を活用します。市民世論調査の結果、事業の実績件数、予算の執行率など、客観的な数値を示します。
②予算要求が通らないデメリットを共有してもらう
ピラミッドストラクチャーは「なぜ必要か?」の体系であって、「予算要求が通らないと、なぜ困るのか」までは示すことができません。このため、「ガイドブックが不足して、住民からクレームが来ることも認識しておいてほしい」と財政課に釘をさしておくことも予算要求の方法です。
4 ワンポイントアドバイス
ピラミッドストラクチャーとロジックツリーを同義とすることもありますが、ここでは前者は「主張-根拠」、後者は「目的-手段」と使い分けています。
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