44 決 算

自治体財政

1 概 要
①決算とは、歳入・歳出の執行の実績をいう
②決算に関するスケジュールとして、決算の調製、監査委員の決算審査、議会の決算認定などがある
③決算ではすべての自治体で統一的に用いられる普通会計を用いる

2 決算とは
決算とは、歳入・歳出の執行の実績をいいます。簡単に言えば、民間企業と同様に、歳入決算額が歳出決算額を上回れば黒字、反対であれば赤字となります。この決算により、自治体の財務状況が把握できますので、ある意味では自治体の通信簿ともいえます。

なお、予算は歳入歳出予算だけでなく、継続費、繰越明許費、債務負担行為などを含みますが、決算は歳入歳出決算のみを対象とします(自治令166条)。

また、決算額と対比するのは予算現額となり、これは、当初予算額に補正予算額、前年度からの繰越額、予備費、流用額を含みます。予算現額に対する決算額が、歳入では収入率、歳出では執行率となります。

3 決算に関するスケジュール
決算に関するスケジュールは、概ね以下のとおりとなります。

自治法233条1項には、「会計管理者は、毎会計年度、政令の定めるところにより、決算を調製し、出納の閉鎖後三箇月以内に、証書類その他政令で定める書類とあわせて、普通地方公共団体の長に提出しなければならない」とあります。

つまり、会計管理者は8月31日までに決算を調製し、長に提出することとなります。決算を調製するのは、出納の権限を持つ会計管理者の役割となっています。

なお、決算書類とは、歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書、財産に関する調書を指します(自治令166条)。

次に、長は、証書類等とあわせて監査委員の審査に付します。監査委員は決算審査を行い、合議を行ない、決算審査意見書を長に提出することになります。

その後、長は議会での決算認定に付すため、決算書類、決算審査意見書、及び主要な施策の成果を説明する書類等を提出します。

議会の認定については、次の通常予算を審議する会議までに行う必要があります。決算の審査にあたっては、予算の審査と同様に特別委員会が設置され、集中的に審議されることが多くなっています。

なお、議会で決算が認定されなくても、決算の効力には影響ありません

その後、長は決算を、議会の認定と監査委員の意見を併せて、総務大臣(市町村長は都道府県知事)に報告するとともに、決算の要領を住民に公表します。

4 普通会計
普通会計とは、決算に用いられる会計区分で、すべての自治体で統一的に用いられるものです。

各自治体の財政状況の把握、地方財政全体の分析等に用いられる統計上、観念上の会計で、総務省の定める基準により自治体の会計を統一的に再構成したものです。

これにより、自治体間の比較が可能となります。対象となる会計は、一般会計を中心として、公益企業会計、準公営企業会計及び収益事業会計を除く特別会計です。
 
予算では、一般会計・特別会計という区分でしたが、何を一般会計とするか、特別会計(法律で定められているもの以外)とするかは、自治体の判断によります。しかし、この決算では普通会計により、全国統一した会計区分となります。

このため、普通会計といっても、ある自治体では一般会計の一部だけが該当していても、他の自治体では、一般会計と特別会計の一部を指していることがあります。

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