32 ハード・ソフトの両面で事業を整理する 

問題解決のためのフレームワーク

1 お悩み
市の採用面接を受けたときのことです。当時は、保育園の待機児童問題が特に注目されていました。面接官から「待機児童問題を解消するためには、どのような対策が必要ですか」と聞かれ、「保育園を整備することです」と答えたら、「ソフト事業はないの?」と苦笑されてしまいました。入庁してからハード、ソフトという言葉を聞くのですが、実はあまり意味をよく理解していないのですが…

2 解決法
ハード・ソフトの両面で事業を整理しましょう。

一般的に、行政におけるすべての事業は、ハード事業かソフト事業に区分できます。ハード事業とは施設や設備の整備や改修などで、ソフト事業は手当の支給、生活保護などの各種サービス、イベントの開催などです。

ハード・ソフトの使い分けは、厳密には自治体で決定しますが、ハード事業は施設事業、ソフト事業は非施設事業とするのが一般的です。このハード・ソフトの区分は、自治体職員にとって必須の視点です。

お悩みのように、保育園の待機児童への対応として、すぐに思いつくのは保育園の新設です。また、既存園を増築して定員を増やすことも可能です。これらは、いずれも施設の整備に関することなので、ハード事業と位置付けられます。

一方で、既存の保育園施設は変えずに、定員を超えて入所できるようにする「定員の弾力化」や、ベビーシッター派遣事業は、施設整備ではありませんので、ソフト事業となります。

3 活用例
①ハード・ソフトの両面から事業を考える
お悩みの保育園のように、事業によってはハード・ソフトの両面から事業の展開を考える必要があります。しかし、一般的にハード事業は、予算が多額になりますし、複数年にわたることがほとんどです。また、いったん開始すると、途中で変更や中止をすることは困難となります。

このため、同様の目的がソフト事業でも達成できないかを、十分に考える必要があります。

②ハード事業の後年度負担
多額の予算を必要とするハード事業では、地方債を発行(起債)して整備することがよくあります。この場合、地方債は将来世代の借金にもなりますので、将来的な施設利用の十分な検討が必要です。

4 ワンポイントアドバイス
民間企業等では、ハード・ソフトの考え方が異なることがあります。

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