1 概 要
①単一予算主義の原則とは、予算は単一の見積表にすべての歳入歳出を包含させ、かつ予算の調製は一会計年度1回を適当とする原則のこと。
②しかし、自治体の事務が複雑多岐にわたるため、実際には特別会計の設置、補正予算・暫定予算の編成などの例外がある。
2 単一予算主義の原則とは
単一予算主義の原則とは、予算は単一の見積表にすべての歳入歳出を包含させ、かつ予算の調製は一会計年度1回を適当とする原則のことです。
これは、自治体の財政全般についての見通しを可能にし、統一的・計画的な財政運営を行うために設けられている原則で、これに則り、毎年度開始前に一会計年度を通じて定められる当初予算を自治体は調製することとなります。
3 単一予算主義の原則の例外
しかし、この単一予算主義には多くの例外があります。それは、自治体の業務が複雑多岐にわたるため、複数の会計に区分した方が適切な場合があり、特別会計の設置をしたりすることがあります。
また、予算編成も当初予算だけでなく、補正予算が編成されることから、予算の調製は必ずしも1回とはなっていないのが実情です。
単一予算主義の原則の例外として、以下のようなものがあります。
(1)特別会計
特別会計は、特定の事業・資金などについて特別の必要がある場合に、一般会計から区分してその収支を別個に経理するための会計です。法律により設置が義務付けられているものと、条例により設置するものの2種類があります。
前者の具体的なものとしては、国民健康保険、介護保険などがあります。
後者には、①自治体が特定の事業を行う場合(地方公営企業に係る特別会計等)、②その他特定の収入をもって特定の歳出に充て、一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合(特定の歳入を財源とする貸付事業に係る特別会計等)があります。
(2)公営企業会計
地方公営企業の経理は、事業ごとに特別会計を設けて行います。
地方公営企業会計とは、
①地方公営企業法の全部又は一部が当然に適用される事業
②その全部又は一部の適用を条例で定めた事業、に係る会計をいいます。
病院、港湾、交通、水道などがあります。
(3)補正予算
補正予算とは、当初予算編成後に、予算の追加や変更を行う予算のことです。年度途中に新たに事業を実施することとなった、災害が発生してそのための経費が必要となったなど様々な事情により、編成されます。
補正予算は、このように当初予算編成後に生じた事由に基づき、既に決まった予算に追加したり、変更したりする予算です。
(4)暫定予算
暫定予算とは当初予算が年度開始前までに何らかの事由により成立しない場合など、一会計年度中の一定期間について最小限度必要とされる経費を計上する予算をいいます。
当初予算が成立しない場合とは、
①予算審議が延び、年度開始前に議決されないとき
②予算案が否決され、再提案などに時間を要し年度開始に間に合わないとき
③災害などの不測の事態により予算の議決に至らないとき
④新しい地方公共団体が設置されるとき、などがあります。
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