1 概 要
①債務負担行為とは、翌年度以降の支出を行うため、予めその限度額を事項ごとに期間を定めておく制度のこと
②ゼロ債務とは、当該年度には歳出予算が計上されていない債務負担行為のこと
③長期継続契約とは、電気、ガス、水道などの契約については、債務負担行為によらずに長期に契約できること。
2 債務負担行為とは
翌年度以降の支出を行うため、予めその限度額を事項ごとに期間を定めておく制度を債務負担行為といいます。つまり、債務(借金)を負担する行為です。
例えば、令和5年度予算の中に、市民図書館整備事業として10億円の歳出予算を計上したとします。
しかし、それとは別に債務負担行為として「市民図書館整備事業 令和6~8年度 限度額30億円」が記載されていれば、「令和6~8年度に市民図書館整備事業として30億円の支払いを予定しています」ということを示しているのです。
これにより令和5~8年度の複数年にわたる工事の契約が可能となります。
また、限度額については明確に額を定めずに「○○市が○○土地開発公社から取得する用地費」のように明記する場合があります。損失補償や債務保証などの金額の確定の無いものでも、債務負担行為とすることができるのです。
なお、このような複数年にわたる契約をするためには、継続費という方法があります。これは年度ごとに支払う年割額を定める必要があります。
継続費を活用する際には「継続費に関する調書」の作成を、さらに継続費の期間については毎年度「継続費繰越計算書」を作成する必要があります。事業が終了した場合にも「継続費精算報告書」を作成し、決算に合わせ議会に報告することとなります。
このように事務的な負担が多いため、実際には継続費の制度は使われず、債務負担行為が活用されています。
3 ゼロ債務
例えば、小学校にプレハブ校舎を建設し、リース契約をするような場合があります。
この場合、新学期に合わせるため年度末に建設し、支払いは翌年度とした場合、当該年度の支払いはゼロですので、当該年度の歳出予算は計上されておらず、債務負担行為のみとなります。
このように、当該年度には歳出予算が計上されていない債務負担行為をゼロ債務と呼びます。
4 長期継続契約
複数年の契約ということを考えると、電気、ガス、水道、不動産などもありますが、これらはいちいち債務負担行為とはしていません。
これらは、債務負担行為の規定に関わらず契約することができることが、地方自治法234条の3に書かれています。ただし、「各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない」とされています。
このため、自治体では契約の中に「予算の範囲内において」「予算の定めるところにより」などの文言を入れ、歳出予算の有無を契約の解除(変更)条件とします。
また、長期継続契約を締結できる契約は、政令の範囲内で、自治体が条例により対象範囲を拡大することができます。例えば、複写機、電子機器、施設の維持管理、清掃などがあります。
単年度の契約では、安定した業務に支障がある契約などがその対象となっています。
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