27 地方債・一時借入金

自治体財政

1 概 要
①地方債も一時借入金も、自治体の借金にあたるもの。
②地方債は、特定の目的に充てるために、自治体が他の者から2か年度以上にわたって長期に借り入れるもの。
②一時借入金は、一会計年度において、歳計現金が不足した場合に、その支払い資金の不足を補うために借り入れる金銭のこと。

2 地方債とは
地方債の概要については、こちらを参照してください。

地方債の目的は地方財政法で明示されており、借金の理由が何でも良いというわけではありません。自治体が無闇やたらに借金して放漫経営をしては、自治体破綻につながってしまいますから、借金に対しては条件が厳しくなっています。

主に、公共施設の建設事業費や土地購入費、災害応急事業費など、建設地方債と呼ばれる施設などの建設にかかるものが多くなっているのが実態です。

3 地方債の役割
地方債の役割は2つあります。

1点目は、住民負担の世代間の公平化です。自治体で施設を建設すると、当然のことながら、施設が出来てから20年、30年と使い続けるのが普通です。このため、20年後、30年後の住民にも借金を負担してもらい、世代間で負担を公平するという役割があります。

2点目は、財政負担の平準化です。例えば、施設建設を行う時は一度に多額の支払いを行い、その前後は通常の財政状態になる、というような状態では、年度によって予算に大きな差が出てしまいます。

これでは安定した行政運営を行うことはできず、住民も混乱してしまいます。こうした事態を防ぐために、多額の資金が必要な時、長期にわたって少しずつ返済していくのです。

この大きな2点が地方債の役割になっています。

4 一時借入金とは
これは「いちじかりいれきん」と読み、略して「いちかり」と呼ばれています。これは文字通り、年度内の一時的な資金繰りを目的とした借入金です。

例えば、予算では歳入と歳出の額が決められていますが、年度当初から歳入が満額あるわけではありません。税収は、納期が決まっており、その納期にならないと自治体のお財布には入りませんし、国などからの補助金などについても、年度当初から振り込まれるとは限りません。

このため、場合によっては、現金が不足することとなり、そのために一時お金を借りることがあります。それがこの一時借入金であり、予算では、この一時借入金の限度額を定めることとなっています。

なお、この一時借入金を活用する以外にも、歳入不足に対応する方法はいくつかあります。

1つ目は、基金の繰替運用です。これは、歳計現金が不足したとき、一時的に基金の現金を使用することをいいます。

2つ目として、前年度の剰余金を充てることです。地方自治法233条の2には、「各会計年度において決算上剰余金を生じたときは、翌年度の歳入に編入しなければならない。ただし、条例の定めるところにより、又は普通地方公共団体の議会の議決により、剰余金の全部又は一部を翌年度に繰り越さないで基金に編入することができる」と規定されています。この他には、他会計の歳計現金の活用などがあります。

ちなみに、年度を通して歳出が歳入を上回る赤字の状態になることがあります。この場合、翌年度の歳入を前借りする「繰上充用」という方法が取られることがありますが、これは決算処理上の非常手段となっています。

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