10 地方交付税

自治体財政

1 概 要
①地方交付税は、全国の自治体が一定水準の行政サービスを提供できるようにするため、財源を調整する制度。
②地方交付税には、普通交付金と特別交付金がある。

2 地方交付税とは
自治体には、行政サービスを提供するための財源が必要です。その根幹となるものは税金ですが、実態上、税金だけで行政サービスを提供することは困難です。また、税収は地域的な偏りがあります。

このため、税収が多く財政力の強い自治体とそうでない自治体の財源を調整し、全国の自治体が一定水準の行政サービスを提供できるようにするのが地方交付税の制度です。

具体的には、国税(所得税、酒税、法人税、消費税)の一定の割合と地方法人税全額を原資として、財源の不足する自治体に交付します。

この地方交付税の機能としては、次の3つがあります。
①財源保障機能(個々の自治体の必要な財源を保障する)
②財政調整機能(自治体間に偏在する財源の均衡化を図る)
③政策誘導機能(基準財政需要額と基準財政収入額の算定は、自治体の行財政運営の目安となる)
なお、この地方交付税は一般財源として交付されますので、使途は指定されません。

3 地方交付税の種類
地方交付税には、普通交付税と特別交付税の2種類があります。地方交付税の総額の94%を普通交付税とし、財源の不足する団体に交付されます。残りの6%は特別交付税として、普通交付税では算定されない災害などの特別な財政需要に対して交付されます。

なお、普通交付税の計算には、基準財政需要額(合理的かつ妥当な水準で行政サービスを行うための財政需要)と基準財政収入額(標準的な状態で見込まれる税収)という考え方が用いられ、一定の方法で算定されます。

なお、基準財政収入額が基準財政需要額を上回る自治体には、普通交付税は交付されません。こうした自治体は「不交付団体」となりますが、特別交付税は交付されることがあります。

4 基準財政需要額と基準財政収入額
基準財政需要額は、その自治体の標準的な需要額について、一定の計算式でもって算出しようとするものです。具体的には、「単位費用×測定単位×補正係数」で算出します。

基準財政需要額とは、議会総務費や民生費の社会福祉費のように、いくつかの項目に分類して計算し、それらを合算したものが、その自治体全体の基準財政需要額となります。

例えば、基準財政需要額の項目の1つである産業経済費の中の商工行政費は、自治体の人口を測定単位とします。つまり、どの自治体であれ、基準財政需要額の1つである産業経済費の中の商工行政費を算出するには、人口をベースに考えるということです。

しかしながら、すべての項目が人口をベースにしているということではなく、例えば総務費の中にある徴税費を算出するには、世帯数を測定単位とします。

このように、基準財政需要額の項目それぞれを計算する際のベースとなりものが、この測定単位となります。

次に、単位費用ですが、測定単位1単位あたりに必要なとされる費用です。つまり、測定単位1単位あたりの単価です。

また補正係数は、単位費用と測定単位を単純に掛け合わせただけでは、正確な計算ができないケースがあることから設定するものです。寒冷補正などがあります。

次に、基準財政収入額ですが、各自治体の一般財源収入額を一定の基準で算定したもので、計算式としては、「標準的税収入見込額×75%」となります。税収全体を計算に含めないで75%としているのは、各自治体が独自の施策を実施するための財源余地とするためです。

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