41 議会審議

自治体財政

1 概 要
①首長は、年度開始前に、議会の議決を経なければならない
②一般的に、予算特別委員会が設置され、予算案が審議される

2 議会への提出
予算案が確定すると、予算案は議会に提出され、議会で審議されることとなります。予算の決定には議会の議決が必要となります(自治法96条)。なお、予算案の提出権は首長のみにあり、議員にはありません(自治法112条)。

首長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経ることが必要です。都道府県及び指定都市は30日前、その他の市及び町村では20日前までに議会に提出しなければなりません(自治法211条)。

また、予算を議会に提出するときは、予算に関する説明書をあわせて提出しなければなりません。予算とは、歳入歳出予算・継続費・債務負担行為、繰越明許費、地方債、一時借入金、歳出予算の各項の経費の金額の流用を指します。

予算に関する説明書は、歳入歳出予算事項別明細書、給与費明細書、継続費に関する調書、債務負担行為に関する調書、地方債に関する調書、その他を指します。

3 予算特別委員会
予算が議会に提出されると、議長は本会議に上程します。当初予算を審議する際には、予算審査のための特別委員会が設置され、そこで集中的に審議されることが多くなっています(なお、補正予算については、当初予算と同様に特別委員会を設置されることもありますが、常任委員会で審議されることもあります)。

なお、特別委員会とは、必要に応じてその都度設置する委員会をいいます。委員会条例に特別委員会の設置規定をおき、その規定に基づき議会の議決で個々の特別委員会を設置します。すべての行政の事務はいずれかの常任委員会に属するので、特別委員会を設置する場合は、その事務については常任委員会からの所管から移譲されます。

なお、実際の予算特別委員会では、首長や財政課長の説明の後、質疑が行われますが、その方法も自治体によって異なります。例えば、総括的な質疑応答の後、総務費、土木費などの費目別で行われたりします。また、議会の会派の人数によって質問できる人数を割り振ったり、時間制限を設けていたりする場合もあります。

また、質問の方法についても、一括質問一括答弁方式、一問一答方式などがあります。前者は、まず質問を行う議員が、指定された時間の中で、複数の項目についてまとめて質問を行います。次に、執行機関が複数の質問項目についてまとめて答弁を行うものです、

後者は、一括質問一括回答方式とは異なり、議員の1つの問いに対して執行機関が答え、議員がそれに対しまた質問を行い、執行機関がさらに答えるという方式。内容が深まっていくことや、緊張感が増すといわれています。この予算特別委員会での採決が終わると、その後、本会議で採決が行われます。

4 再 議
再議とは、議会の議決や選挙等に異議がある場合、再度の審議と議決を求める制度です。長の拒否権とも言われます。一般的拒否権と特別的拒否権の2つに区分できます。

一般的拒否権とは、異議があれば発動できるものです。首長は10日以内に理由を示して再議に付すことができ、議会は審議を行います。過半数の再議決で確定しますが、条例・予算については、出席議員の2/3以上の同意が必要です。

特別的拒否権とは、特別の要件の下で発動しなければいけない、長の義務です。その内容は以下のとおりです。
①違法な議決または選挙
②法令により負担する経費等の削除・減額の議決
③非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費、感染症予防のために必要な経費の削除・減額の議決

コメント

タイトルとURLをコピーしました