11 国庫支出金・都道府県支出金 

自治体財政

1 概 要
①国庫支出金とは、自治体の特定の事業に充てられるため交付されるもの。
②国庫支出金には、国庫負担金、国庫委託金、国庫補助金の3種類がある。
③同様の制度として、都道府県が支出する都道府県支出金がある。

2 国庫支出金とは
国から自治体に交付されるもので、特定の事業に充てられる(使途が特定されている)ものを国庫支出金といいます。法令等に基づき、国がその経費の全部又は一部を負担するものです。

そもそも自治体の事務を行うために要する経費は、自治体が全額これを負担するのが原則となっています(地方財政法9条)。しかし、同法の10条から10条の4に規定する事務についてはその例外とされています。

また、国庫支出金と同様の制度として、都道府県が支出する都道府県支出金があります。

3 国庫負担金、国庫委託金、国庫補助金
国庫支出金には、国庫負担金、国庫委託金、国庫補助金の3種類があります

国庫負担金は、国もその事務について責任を負うもので、支出は義務となっています。具体的には、普通国庫負担金(義務教育、生活保護、児童手当など)、建設事業費国庫負担金(道路、河川、港湾等の新設・改良、公営住宅の建設など)、災害国庫負担金(災害救助、災害復旧経費)の3種類があります。

国庫委託金は、本来は国が行うべき事業を、自治体が代行する場合に支出するもので、全額その経費を国が負担します。具体的には、国会議員の選挙、国勢調査、国民年金や雇用保険などに要する経費などがあります。

国庫補助金は、国が特定の施策を奨励したり、自治体に財政援助をしたりするための給付金となっており、国の支出は任意となっています。このため、国庫補助金に対象は様々です。

ちなみに、「補助裏」や「裏負担」という言葉が自治体ではよく用いられます。これは、例えば国の補助が事業費の1/3であった場合に、その残りの自治体が負担する2/3の部分を指します。「この事業の補助裏の半分は起債で、残りは基金の繰入で対応する」などといったりします。

4 国庫補助金の効果と課題
国庫補助金の効果としては、次のような点が指摘されています。
①全国統一的な基準(地域によって差があってはいけない施策について、全国的に統一の水準を保つことができる)
②自治体の負担軽減(自治体だけでは財政負担できないような事業について、財政負担を国が担うことで自治体の負担を軽減できる)
③計画的な公共事業の推進(国土整備や公共施設の整備を計画的に実施できる)

一方で、国庫補助金の課題も指摘されています。それは、上記の効果の裏返しとも言えるのですが、具体的には以下のようなものです。

①画一的な行政運営(全国一律の基準となるため、自治体の創意工夫を阻害したり、地域の実情と合わない事業が実施したりする可能性がある
②自治体の国依存(自治体が国に依存してしまい、地域の実情を把握しなくなってしまう)
③超過負担(補助金の基準が実際の事業費とは隔たりがあり、その分を自治体が負担しなくてはいけないため負担が増えるなど)
④事務負担の増加(申請などに煩雑な手続きが必要で、労力や経費が費やされる)


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