35 WIN-WINで双方のメリットを考える

問題解決のためのフレームワーク

1 お悩み
福祉センターに指定管理者を導入することになりました。運営方法の変更について住民説明会を開催したのですが、市民から「指定管理者導入は単なる役所のコスト削減で、実態は住民サービスの低下だ!」と言われてしまいました。どのように説明すれば良いでしょうか。

2 解決法
住民と行政の両方のメリットで考えるWIN-WINを考えましょう。

WIN-WINとは、交渉当事者の双方にとって利益が得られるようになることを言います。交渉と言うと職員団体や業者などがすぐにイメージされますが、行政と住民の両方のメリットという考え方もできます。

例えば、自治体が行政サービスの内容や方法を変更することがあります。具体的には、お悩みのような施設への指定管理者導入、ごみ出しの分別方法の変更、敬老祝金の減額、施設やイベントの休廃止、使用料・利用料の値上げなど、様々です。

自治体としては、効果的な財政運営、ごみの最終処分場の延命など、「全体の利益」や「負担の公平性」などを踏まえた上で、これらの方針転換を行うわけです。しかし、住民からは「それは役所の論理であって、実態はサービス低下だ」と反発されることがあります。このため、住民説明会で紛糾したり、議会へ請願・陳情が提出されて政治問題化したりすることも少なくありません。

このような時に、自治体職員がWIN-WINの視点から説明できれば、非常に効果的です。お悩みであれば、「指定管理者導入のより削減できたコストについては、他の福祉サービスの向上に活用する」のように住民側にもメリットがあることを示します。

3 活用例
①地元還元施設
一般的に、地域からあまり歓迎されない迷惑施設などを建設する場合、代わりに地元要望である集会室や公園などを整備することがあります。これは取引条件とも言えますが、双方のメリットとなるためWIN-WINにつながります。

②見守り活動
高齢者の安否確認のため、高齢者自身に見守り活動を実施してもらいます。行政にとっては民間に事業を委託するよりも安価に実施でき、高齢者にとってもコミュニティの促進、健康増進、生きがいづくり、などのメリットが生じることから、WIN-WINとなります。

4 ワンポイントアドバイス
WIN-WINは、交渉当事者の二者の関係です。しかし、この二者に「世間よし」との社会全体のメリットを加えた「三方よし」との考え方があります。これは、近江商人の心得と言われています。

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