お役所言葉とは、日本の行政で用いられる公文書、法律、条例などに特有の表現スタイルで書かれた文章を批判的な意味で捉えたものとされます。平成24年5月に作成された岐阜県中津川市の「『お役所言葉』改善の手引き」によると、具体的には、次のようなものが掲載されています。
※ →の前がお役所言葉、→の後が言い換え例
①あいまいな表現、まわりくどい表現
出席方よろしくお取り計らい願います → 出席をお願いします
~するものとする → ~します
②カタカナ語
アセスメント → 環境評価
インキュベーション → 起業支援
③法令用語・専門用語
可及的速やかに → できるだけ早く
供用 → 使える、利用できる
④略語
世界保健機関(WHO)、ISO (国際標準化機構)などのように正式な用語を併記する、もしくは注釈を付ける
さて、公務員の文書・資料とお役所言葉との関係です。一般的に、役所内で使用する文書・資料ではお役所言葉を使うことがあります。場合によっては、使わなくてはいけない場合もあります。しかし、住民向けには使用しません。
例えば、公務員特有の略語があります。特別徴収を「特徴」、一般財源を「一財」、生活保護を「生保」などです。こうした略語は、公務員同士であれば共通言語なので、すぐに理解できます。略語を用いないと、かえって文書・資料が 冗長に見えてしまいます。このため、文書・資料の内容にもよりますが、略語を用いるのが一般的です。
また、上記の①あいまいな表現、まわりくどい表現、③法令用語・専門用語については、条例などの法令に関するものはもちろんのこと、起案文書でも使用します。また、議会答弁で使用される表現としても、使わなくてはいけない場面があります。
しかし、会議や打ち合わせなどの資料で、こうした表現を用いるのかは、ケー スバイケースといえます。例えば、新設される公園の利用開始時期を決めるような会議の資料では、「利用開始時期」でも構いませんが、起案文書では「供用開始日」と表現されるからです。
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