19 文書・資料の効果的な説明方法②

文書・資料作成術

前項に引き続き、文書・資料の効果的な説明方法です。

第四に、「聞き手の視線に注意する」です。一般的に、資料をもらった人は、資料を見ながら説明を聞きます。この場合、その聞き手の視線に注意することが大切です。例えば、首長に説明していると、説明している箇所とは異なる部分を凝視していることがあります。それは、その部分が気になっている証拠です。

このような時に、他の箇所を説明しても、首長の耳には入らないでしょう。これは住民説明会などでも同様です。このため、「聞き手は説明している部分を見ているか」、「自分の説明を聞いているか」を絶えずチェックしておく必要があります。聞き手の反応を無視しては、効果的な説明とはなりません。なお、当然のことですが、聞き手を全く見ないで、原稿ばかり見て説明するのはダメです。やはり、 時々は聞き手の目を見て、状況を確認することが必要です。

第五に、「複数の資料を説明する時は注意する」です。配付資料が「資料1~4」、「参考1 、2」など、複数にわたることがあります。このような場合、聞き手は「今、どの資料を説明しているのか」と迷子になってしまうことも少なくありません。ひどい場合には「資料1」「別紙1」「参考1」「別添資料1」など、あまりにいろいろな名称の文書・資料を配付してしまい、聞き手を混乱させることがあります。

これは、聞き手に配慮しているとは言えません。どうしても複数の資料を配付する必要がある場合でも、できるだけ文書・資料の種類(名称)は少なく、また配付する数も少なくするように配慮します。職員によっては、「できるだけ多くの文書・資料を渡さないと不安」、「後で質問が出ないように、前もって渡しておこう」と考えてしまいます。しかし、それは聞き手にとっては、苦痛かもしれません。資料を受け取る立場になって、考えることが必要です。

第六に、「論理的に説明する」です。「6 資料作成の基本構造①」でも触れたとおり、もともと文書・資料の構成が、読み手が理解しやすいストーリー展開となっていることが必要です。このため、基本的にはそのまま説明していけば、論理的矛盾や論理的飛躍などはないはずです。

説明にあたっては、接続詞に注意するとわかりやすくなります。具体的には、「このため」「そこで」「その結果」「以上のことを踏まえて」のような順接(前の事柄が原因・理由となり、その結果が後に続く)、「しかしながら」「ところが」「それにも関わらず」などの逆接(前の事柄からは類推されない逆の結果が後に続く)、「一方では」「反対に」などの対比(前の事柄と後の事柄を比較・対比する)のような接続詞です。説明の中でこうした接続詞を用いると、聞き手にとって前後のつながりや関係がわかりやすくなります。

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