1 概 要
①財政計画とは、長期的展望に立ち、自治体で策定する財政運営の計画(財政の収支見込)
②財政計画にはおさえておくべきポイントがあるが、作成方法は自治体により異なる
2 財政計画とは
財政計画とは、長期的展望に立ち、自治体で策定する財政運営の計画(財政の収支見込)です。財源の効率的な運用を図るなど、適切な財政運営をするために作成されます。中期財政見通しともいいます。
統一した呼称ではなく、中期財政計画と呼ぶ場合もあります。また計画期間も5年、10年など様々で、計画策定も義務ではありません。
自治体が計画的に行政運営を行っていくためには、財政の計画も当然必要となります。基本計画などで、施設整備や住民サービスなどのソフト事業を予定していても、その裏づけとなる財源が必要ですから、そのために長期的な財政計画が必要となるのです。
3 財政計画の視点
財政計画には、いくつかの視点があります。
第一に、収支改善の視点です。例えば、赤字決算が続くようでは、借金が雪だるま式に増えていってしまいます。このため、黒字化するためにシーリングを行うなどの対応が必要になってきます。
第二に、財政指標の視点です。経常収支比率、財政力指数、公債費負担率など、自治体の財政指標についてどのような数値目標を設定するかという視点です。例えば、経常収支比率が適正範囲といわれる70~80%を超えているのであれば、今後どのように改善していくかということも財政計画でも重要なポイントとなります。
第三に、後年度負担の視点です。これは地方債残高の将来見込みです。例えば、今後施設建設があり起債の予定があれば、当然地方債残高が増えることになります。
一方で、以前に借り入れた分を毎年返済したり、満期一括償還の地方債の期限が到来したりすれば、当該年度に返済することになります。このように、地方債残高がどのように推移するかということも視点となります。
第四に、基金残高の視点です。借金である地方債残高も大事なポイントですが、預金である基金残高も大事です。これらを両方併せて考えると、結局は借金が多いのか、預金が多いのかがわかります。経済状況などによって、税収は左右されますので、基金・地方債の残高も重要です。
4 財政計画の内容
実際の財政計画の作成方法は、自治体により異なります。統一した方法はありません。一例として、以下のような方法があります。
1 歳入
①地方税…コーホート法により人口を推計し、地方税を算出。固定資産税は評価替えを勘案。
②地方交付税…基準財政需要額と基準財政収入額を見込み、そこから地方交付税を算出
③国・都道府県支出金…今後の扶助費の動向や施設整備などを勘案して算出
④地方債…今後の施設整備を勘案して算出
2 歳出
①義務的経費…人件費は職員数の見込みにより算出。扶助費は現行制度をベースにして新たな福祉施設の運営費などにより推計。公債費は、既発行分及び発行見込額の元利償還金により推計。
②投資的経費…施設整備や、既存施設の更新等を勘案し算出
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