職員が不満・クレームを抱えていることは、何かしらの職場に問題がある場合があります。もちろん、その職員が「ただ怠けたい」「自分が楽をしたい」などの、わがままな理由は論外です。しかし、職員が業務について何かしらの違和感を覚えているならば、解決すべき課題となります。
では、実際に職員の不満・クレームが、どのような問題と結びつくことがあるでしょうか。
第一に、業務の見直しです。例えば、慢性的に残業している職場があるとします。職員の誰もが長時間の残業や土日出勤に辟易としているならば、「どうにかして、残業を減らす取組をしよう」という雰囲気が生まれてくるものです。
これが、事業の執行方法の見直しや職員間の連携に着手するきっかけになります。もし、「残業を避けられない」とあきらめてしまっては、いつまで経っても残業はなくなりません。
第二に、組織運営の見直しです。例えば、同じ課内であっても、係によって業務の繁閑に大きな違いがあったとします。市民課市民係は、年度の切り替え時期は忙しいものの、協働係の職員は常に余裕があるとすると、市民係職員は「なぜ、市民係だけが…」と考えてしまいます。
こうした時は、課内の連携体制を考える良いチャンスになります。何も手をつけないと、職員の不満は高まる一方となり、職場の雰囲気はさらに悪くなってしまいます。
第三に、コミュニケーションの見直しです。職員の不満・クレーム最も多いのは、対人関係によるものです。これは単に好き嫌いということもありますが、コミュニケーション不足によって、勘違いや誤解が生じていることも少なくありません。
これを単に個人的な問題として、その人任せにするのでなく、組織におけるコミュニケーションの活性化と言う視点で考えると「連絡体制が不十分」「課題を共有する場がない」などの問題点が見えてきます。
以上のように、職員の不満・クレームからも、様々問題を見つけることができます。いずれの場合も、「これは〇〇さん個人の問題ではあく、本当は組織上の問題ではないか」と考えることが必要です。
ちなみに、職員の不満・クレームを業務改善に反映させる仕組みとして、職員提案制度が実施されている自治体もあります。ただ、この制度を活用した場合、「日頃は何の問題提起もしないくせに、提案制度で職場の不満をぶつけるのか」と、余計に問題をこじらせてしまうこともあります。
また、「職員に不満・クレームがない職場は良い職場だ」とはなりません。なぜなら、それは職場全体にマンネリ・前例踏襲主義がはびこっている可能性があるからです。こうした職場では、職員は不満を感じるどころか、かえって面倒が増えるので職員は変化することを嫌います。既に住民ニーズ少なくなった事業を、ただ機械的に行っているということも発生しているのです。
このため、職員に不満・クレームがないからと言って安心するのは禁物です。
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