61 問題発見の視点⑤ 組織目標の未達成 

問題解決のためのフレームワーク

組織目標が達成されないことも、自治体にとっては問題です。そもそもの制度論から言えば、組織はその目標を達成することが使命ですから、それが実現できなければ、組織が機能していない証拠です。

基本的には、年度当初に各部で目標を設定します。各部の目標に基づき、各課が目標を設定し、さらに各係、各職員のレベルで目標を設定します。職員は、上司との面接を通じて、目標管理するのが、本来のあり方です。

しかし、おそらく「うちの職場では、そんなに厳密に目標を管理していない」という職員が多いのではないでしょうか。地方公務員制度上の人事評価の難しさとしても指摘されますが、自治体職員の場合、目標を数値で掲げにくい面があります。どうしても「更なる住民サービスの向上を図る」のようなスローガン的なものになりがちです。このため、組織目標未達成という意識を持ちにくいことも事実です。

しかしながら、「いかに組織として成果を残すことができたか」という視点がなければ、組織が本当に機能しているのかを判断することはできません。やはり、組織目標は重要な視点なのです。そこで、次のような点に注意が必要です

第一に、組織目標の設定そのものが誤っていないかです。具体的には、「職場の実態に合っていない目標」「目標が抽象的で、具体的なゴールがわからない」「実現困難な高すぎる目標」などが考えられます。組織目標そのものが間違っていれば、当然のことながら、それを達成することはできません。

第二に、組織目標実現のための手段や方法に問題がないかです。よく経営資源として「ヒト・モノ・カネ」と言います。例えば、住民への啓発を行う事業なのに、十分な印刷経費がない、説明会を開催したくても職員が不足しているなど、資源が不足している場合です。また、組織として実施するべき手段や方法について認識がバラバラでも、実現は困難となります。

第三に、目標に対する職員の認識不足です。これは部長や一般職員などの職位に関わらず、どの職員でも起こり得るものです。例えば、部長が年度当初に部の目標を設定するものの、部長自身がその内容を十分に意識することなく業務を行っていることがあります。これでは、その下の課、係、各職員に目標達成を求めることは困難となってしまいます。

前述したように、「そもそも組織目標に対する認識が低い」ことは、残念ながら自治体ではよく見られることです。しかし、PDCAサイクルのように、計画→実行→検証→改善のように、常に組織がレベルアップするようなシステムがないと、組織そのものの存在意義が問われてしまいます

管理職はもちろんのこと、一般職員であってもこの目標という視点で考えることは、業務改善の面からも非常に重要となります。

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