【問題1】
市で実施する総合防災訓練では、訓練終了時に参加者である地域住民、関係機関の職員などに簡易なアンケートを取っています。そのアンケートは、いわゆる「使い捨て鉛筆」とも呼ばれる、クリップ付きペンシルで記入してもらっています。そして、アンケート提出後に参加記念品を渡しているのです。
しかし、アンケート記入後、そのペンを路上に捨ててしまう人が出てしまい、ごみの発生が問題となっていました。しかし、職員があるアイデアを思いつき、それを実施したところ、全くごみが発生しなくなったというのです。果たして、その職員のアイデアとは何でしょうか。
【解 答】
答えは、「クリップ付きペンシルの代わりに、記念品の1つとしてボールペンを配り、それを使って、アンケートを記入してもらった」です。記入に使うボールペンも記念品なので、参加者は他の記念品と共に持ち帰るので、ごみにはならないのです。このように、ごみとして問題となっている「クリップ付きペンシル」そのものを止めてしまうのです。
ちなみに、このように「問題そのものをなくす」ことで有名な事例は、アイスクリームです。カップで販売していたところ、カップがごみとなってしまうため、コーンに乗せて販売したところ、やはりごみがなくなったのです。
【問題2】
ある市では、カラスによるごみの散乱に悩んでいました。ごみ収集車が来る前に、早朝に出されたごみがカラスによって食い散らかされてしまうのです。これは、単に衛生上の問題だけでなく、児童・生徒の安全上の問題にもなっています。このため、市ではある対策を行ったところ、カラス被害が全くなくなったといいます。それは、ごみ集積所に網をかけるなどではないというのですが、どのような方法だったのでしょうか。
【解 答】
答えは、「ごみ収集を深夜に行うようにした」です。深夜であれば、カラスは活動しませんので、カラス被害は全くなくなるわけです。また、深夜収集したことで、朝に生ごみの臭いが周囲に充満しない、ごみ収集車が走るので防犯効果もあったとされています。
ただし、深夜収集にはデメリットもあります。それは、昼間収集よりも費用がかかること、ごみ収集車の騒音などです。実際に、深夜収集を実施するかどうかは、こうした点を比較考量して判断することになりそうです。
ちなみに、この「問題そのものをなくす」ことができると、非常に爽快です。ロジカルシンキングでは「いかにカラスに食べさせないか」と様々な防御策を考えてしまいますが、ラテラルシンキングで「そもそもカラスが食べられない状態とは」と発想が大きく変わるのです。
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