5 文書・資料作成前の確認事項

文書・資料作成術

では、実際に文書・資料を作成する前に、どのような事項を確認しておくべきでしようか。これらについて、整理しておきたいと思います。

第一に、資料の目的です。これは、以前に述べたように「誰に何を伝えるのか」、「読み手に何をしてほしいのか」を明確にすることです。ちなみに、「読み手に何をしてほしいのか」によって、文書・資料の種類が異なってきます。予算要求の補足資料であれば説明資料、事故の経過説明であれば事故報告書、係の全員に知っておいてほしい内容であれば周知文書などとなります。特に、文書・資料の種類名にこだわる必要はありませんが、「読み手に何をしてほしいのか」には注意する必要があります。

第二に、資料の構成です。先の文書・資料の種類名にも関係しますが、どのような構成にするかは重要です。例えば、係会で新規事業の提案を行うとします。この場合、「1 概要 2 事業内容(案)  3 メリット・デメリット 4 経費 5 実施にあたっての課題」などとすると一目瞭然です。読み手にとって、どのような順番で伝えられるのかはとても大事なのです。読み手としては、「提案内容は何か」、「なぜ提案するのか」など、文書・資料の主旨をまず知りたいわけです。これらを伝える前に、いくらメリット・デメリットや経費などの説明をされても、困るわけです。

第三に、作成スケジュールです。例えば、予算要求の説明資料であれば、「担当者間での検討 → 係長の了承 → 課長の了承 → 財政課の提出」などの段階を踏むことが必要となります。このため、財政課提出の締切日から逆算していき、いつまでに課長や係長の了承を得ておく必要があるかを決めておく必要があります。これらを逆算しないで、漫然と資料を作成して締切日に間に合わないのであれば、資料作成の意味はなくなってしまいます。

第四に、概要版と詳細版です。文書・資料は、場合によっては概要版と詳細版の2種類を作成することがあります。例えば、住民意識調査の結果をまとめた資料を作成するとします。この場合、すべての結果については詳細版に掲載し、概要版は調査の実施日、対象者数・回答者数、質問内容、調査結果のポイントなどを、簡単にA4判やA3判1枚に収めるのです。この概要版があれば、読み手はこの調査結果の概要を一目で理解することができるのです。もし、詳しい内容を知りたいのであれば、詳細版を見れば良いわけです。もちろん、特に概要版・詳細版に分ける必要がない文書・資料もあります。

以上のように、実際に文書・資料を書き出す前にも、確認しておくべき事項があります。これらを考慮せずに、いきなり書き始めても後々困ったことになってしまいます。

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