1 概 要
①これまで財政課主体の予算編成から、新たな予算編成方法の動きがある
②枠配分予算とは、一会計年度に見込まれる一般財源の予算枠をあらかじめ各部署に配分し、各部署がその範囲内で予算を編成する方式
③市民参加型予算とは、予算編成の段階から住民の意見を取り入れようとするもの
2 新たな予算編成方法
これまで財政課が主になって行ってきた予算編成について、新たな手法で予算編成を実施しようとする動きがあります。この背景には、各部署に権限を持たせる分権化、住民参加・協働の推進、予算の「見える化」など、様々なものがあります。
具体的な方法としては、いくつかあるのですが、ここでは枠配分予算と市民参加型予算について説明します。
3 枠配分予算編成
枠配分予算とは、一会計年度に見込まれる一般財源の予算枠をあらかじめ各部署に配分し、各部署がその範囲内で予算を編成する方式をいいます。予算要求・予算査定の権限を移譲することで、各部署に自主性と自律性を確保するとともに、財政部門の労力を軽減させる効果があります。
実際の事務の流れとしては、各部署に割り振る枠を決定するために、行政評価結果、前年度の事業実績、来年度の方針等の決定などが行われます。最終的には、首長をトップとする経営会議などで、その枠配分の内容を決定し、予算編成方針などと共に、財政担当部門から各部署に通知されることとなります。
各部署は予算編成方針、示された予算枠の中で予算編成を行い、財政担当部門は、各部署が行った予算をまとめ、予算案を確定することとなります。このような流れで、予算をまとめていくのが、枠配分予算編成となります。
この方法は、先のようなメリットがある一方、デメリットも指摘されています。
具体的には、枠配分を適切に実施できるか、インセンティブをどのように設定できるのかなどがあります。また、実態として、各部署の査定を行うものが、元財政課職員で、その者たちを各部署に異動させているという自治体もあるようです。
4 市民参加型予算編成
市民参加型予算編成とは、予算編成の段階から住民の意見を取り入れようとするものですが、いくつかの方法があります。
例えば、一般市民で構成される市民委員会が、自治体とは別に独自に予算案を作成し、自治体がつくる予算案と市長は比較した上で、最終的な予算案を議会に提出するという方法があります。
また、一部の予算編成を市民に任せるという地区予算制度という方法もあります。これは各地区が実施する事業に一括交付金を与える制度で、従来の地域向け補助金を一部廃止し、包括的な交付金制度となっているものです。
これ以外にも、予算要求、査定内容と理由など編成過程の細かな点まで公開する「予算編成過程の公開」や、個人住民税の1%を市民投票により補助する制度、予算前にNPOから事業提案を受ける制度などがあります。
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