37 予算編成方針 

自治体財政

1 概 要
①予算編成方針とは、どのような考え方で当該予算を編成するのか、その方針をまとめたもの。
②予算編成方針ではおさえておくべきポイントがある。

2 予算編成方針とは
予算編成方針とは、どのような考え方で当該予算を編成するのか、その方針をまとめたものです。当初予算だけでなく、補正予算を編成する際にも示されます。団体内部の意思統一を図るとともに、長の施策の方針を明確にするという目的があります。

この方針に従って、事業部門は予算の見積り・要求を行い、財政部門は査定を行います。当初予算であれば、前年の8月頃に庁議(市政運営の方針を決定する会議体)などで決定し、その後、全庁に通知されます。

また、この予算編成方針と共に、予算見積方針というものが示されることがあります。これは、各事業部門が予算の見積りにあたっての基本的な考え方が示されています。

自治体によっては、この予算編成方針の通知後に予算説明会として、来年度予算編成にあたり説明会を開催する場合があります。これは、予算編成方針や予算見積方針などの説明の他、スムーズな予算編成が行われるよう、事務上のポイントや注意点について説明するものです。

3 予算編成方針から何を読み取れるか
この予算編成方針は、職員から見ると一見無味乾燥な内容が毎年書かれているようにも感じるかもしれません。しかし、以下のような点に注意すると、予算の見積りなどに活用することができます。

(1)経済状況全般
予算編成方針では、内閣府の月例経済報告などを活用しながら、経済状況全般について述べられているのが一般的です。

当然のことながら、景気が上向きなのか、下向きなのかによって、税収は大きく左右されます。税収が減少方向であれば、なかなか新規事業を行うことは難しくなりますし、反対ならばその逆となります。

場合によっては、予算編成方針の中に「原則、新規事業は不可」のようなことが明示されることもあるので注意が必要です。こうした文言があるにも関らず、新規事業を提案したら「予算編成方針を読んでいないのか」と言われてしまいます。

(2)首長の方針
「来年度は本県での国体実施にあたり、本市のスポーツ施策の充実に努める」「来年度は、全庁的に指定管理料について見直しを行う」など、予算編成にあたって具体的な方針が示されることがあります。

例えば、前者であればスポーツ関連の事業は予算化されやすくなります。このため、何か予算要求する際に、こうした方針に合致できるものはないか、検証することも必要となります。また、後者であれば、当然予算編成後に、実際にどのように見直しが行われたのか、その結果が求められることになります。

このため、予算要求にあたっても、どのように見直したのかを財政課に説明することが求められます。

予算にはメリハリが必要となり、それは毎年必要に応じて見直されます。何がその年のポイントなのか、または重要な施策は何なのかを十分踏まえておくことが必要です。

(3)全庁的なルール
例えば、経常経費については前年度比5%減とする、標準単価の設定、スケジュールなどです。これは、ある意味では事務的な部分もあるのですが、こうした点についても十分に認識しておかないと、全体の予算編成の流れと異なった動きをしてしまうので注意が必要です。

予算編成は、財政部門はもちろんのこと、事業部門もスケジュールもかなりタイトになります。このため、標準単価やスケジュールなど、当然のことを踏まえていないと、後々面倒なことになります。細かい点もありますが、十分認識しておく必要があります。

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