28 時間外勤務

地方公務員法

1 概 要
 時間外勤務の種類には、災害等の場合、公務上の臨時の必要に基づく場合、三六協定が締結されている場合がある。

2 時間外勤務とは
時間外勤務とは、正規の勤務時間外(正規の勤務時間の開始前及び終了後並びに休憩時間中)の勤務、および勤務を要しない日の勤務で、宿日直勤務に該当しないものをいいます。
 
一般的には、この時間外勤務を命じることは禁止されていますが、緊急の必要がある場合など一定の場合には、時間外勤務を命令することができます。

3 時間外勤務の種類
時間外勤務の種類としては、以下のようなものがあります。

(1)災害等の場合
災害その他避けることのできない事由により臨時の必要が生じた場合は、時間外勤務を命ずることができます(労基法33条1項)。この場合、地方公共団体は労働基準監督署に届け出て許可を受ける必要がありますが、その暇がない時は、事後に遅滞なく届け出なければなりません。

(2)公務上の臨時の必要に基づく場合
官公署の事業(労基法別表第一に掲げる事業を除く)に従事する職員に対し、公務上臨時の必要があるとき、時間外勤務を命ずることができます(労基法33条3項)。

このような官公署の職員は、一般の行政事務に従事しており、民間の事務事業と異なり公共性が高いため、勤務時間の特例が認められています。この規定によって時間外勤務を命じられる職員の範囲は、事業所単位で定められます。なお、公務のために時間外勤務をさせる必要があるかどうかの判断は使用者に委ねられています。

また、この規定はいわゆる現業(労基法別表第一に掲げる事業)の事業場の職場には適用されず、これら職場については次の三六協定が必要となります。

(3)三六協定が締結されている場合
三六協定とは、労働基準法36条に規定される協定をいいます。これは、先の(2)の官公署以外に勤務する職員に超過勤務を命ずる際に必要な協定です。この協定は、事業所ごとに締結するのが原則となっています。

具体的には、当該事業場の職員の過半数で組織する職員団体または労働組合(これらの団体がないときは過半数の職員の代表者)との間で時間外勤務に関して締結されるものです。

協定の内容は、時間外勤務の事由、対象職員数、延長すべき時間などで、この協定を締結して、労働基準監督機関に届け出れば、これに従って時間外勤務を命ずることができます。

三六協定は労使双方の合意によって成立しますので、合意が得られないときは時間外勤務をさせることはできません。また、就業規則などに時間外勤務の定めがあり、三六協定が締結されている場合は、個々の職員に時間外勤務の義務があります。

4 時間外勤務手当
職員が正規の勤務時間を超えて勤務することを命じられた場合、その超えた全時間に対して時間外勤務手当が支給されます。ただし、週休日の正規の勤務時間内に勤務を命じ、同一週内に週休日の振替をした場合には、時間外勤務手当を支給する必要はありません。また、休日の正規の勤務時間に当たる時間に勤務を命じられたときは、休日勤務手当が支給されます。

時間外勤務手当は1時間を単位として計算され、給与期間中の全時間を合算したものに1時間未満の端数がある場合については、30分以上のときは1時間とし、30分未満のときは切り捨てることができるとされています。

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