1 概 要
給与支給の原則として、重複支給の禁止、支払い3原則(通貨払いの原則、直接払いの原則、全額払いの原則)がある。
2 重複支給の禁止
重複支給の禁止とは、職員が他の職を兼ねる場合、その兼務した職に対して給与を受けることができないことをいいます。この背景には、重複支給がされると過大な給与が支給されたり、任用が乱れたりするおそれがあるからとされています。
しかし、職員が特別職の職を兼ねた場合には、この地公法24条3項の規定は適用されません。特別職の職に対して、給与または報酬を支給することは可能とされています。
3 支払い3原則
支払い3原則は、職員の給与は、法律または条例により特に認められた場合を除き、通貨で、直接職員に、その全額を支払わなければならない(地公法25条2項)という規定に基づくものです。
(1)通貨払いの原則
通貨払いの原則は、給与は通貨で支払うことが求められ、現物給与(金銭ではない、他の有価物。例えば、食事、宿舎、制服など)は原則として禁止されています。これは、価格が不明瞭なことや、換金が困難なため、職員の安定した生活が困難となるためです。また、小切手による支給も不可ですが、退職手当については可とされています。
なお、ここでいう給与とは、給料のほか各種手当を含みますが、旅費や共済年金は含みません。
(2)直接払いの原則
直接払いの原則は、職員の給与は、例外を除き、直接職員本人に支給しなければならないことを示しています。職員から委任された者についても、給与は支払うことはできないとされています。
しかし、職員が海外出張など長期にわたる出張中であるとか、病気のため長期療養中であるなど、直接受領できない場合には、家族に渡すことはできるとしています。この場合、家族は職員の使者と見なします。
なお、給料の口座振込みについては、
①給与の口座振込みは職員の意思に基づいているものであること、
②職員が指定する本人名義の預金または貯金の口座に振り込まれること、
③振り込まれた給与の金額が所定の給与支給日に払い出しうる状況にあること、
の3つの要件を満たす場合には、直接払いの原則に反しないものとされています(自治省通知昭50.4.8)。
(3)全額払いの原則
全額払いの原則は、例外を除き、給与の全額を支給しなければならず、全部または一部を控除することはできないとするものです。
なお、懲戒処分による減給などの場合は、その減額後の給与の額が、支給すべき給与の全額となります。この場合の減額は、支給すべき給与を計算する過程での問題ですので、全額払いの原則とは関係ありません。
給与の全額払いの原則の例外として、法律及び条例で認められている給与からの控除の例として以下のようなものがあります。
① 法律によるもの
所得税の源泉徴収、市町村民税及び都道府県民税の特別徴収、共済組合の組合員の掛金及び償還金、金銭差押えによる取立て
② 条例によるもの
職員住宅使用料、職員互助会の会員の掛金、職員互助会の扱う貸付金の返還金、団体生命保険の保険料
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