22 給与決定の原則

地方公務員法

1 概 要
給与決定の原則として、職務給の原則、均衡の原則、条例主義の3点がある。

2 職務給の原則
職務給の原則とは、給与は職務と責任に応ずるものとする原則です。これは、職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない(地公法24条1項)に基づくものです。同一労働同一賃金の原則とも言います。

これにより、属人的要素が排され、勤務意欲の増大、能率の向上が期待できるとされています。

3 均衡の原則
均衡の原則とは、職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業者の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない(地公法24条2項)という原則です。

これには、2つの目的があります。1つは、民間や他の公務員に匹敵する給与を支給することにより適材を確保することです。もう1つは、公務員の給与について住民の納得を得るということです。

この均衡の原則は、①生計費、②国家公務員の給与、③他の地方公共団体の職員の給与、④民間事業の従事者の給与、⑤その他の事情の5点を考慮することによって実現されるとしています。

国家公務員の給与は人事院勧告に基づき決定されていますが、人事院勧告では生計費や民間事業の賃金が考慮されているので、地方公共団体が国家公務員の給与に準じることは、国及び他の地方公共団体とも均衡がとれるとされていました。しかし、当該地方公共団体の区域の経済事情等との乖離が見られる例もあります。

なお、人事委員会を置く地方公共団体においては、人事委員会が当該地域の公民給与比較に基づき勧告を行いますので、地域の事情が反映されることとなります。

また、地方公務員の給与を国家公務員の給与と比較する方法として、ラスパイレス指数が使われます。これは、国家公務員を100とした場合の地方公務員の給与水準を示す指数です。学歴や経験年数の差による影響を取り除くため、学歴別・経験年数別の職員構成が国家公務員と同一であると仮定して計算します。

毎年実施されている地方公務員給与実態調査によって、すべての都道府県・市区町村のラスパイレス指数が公表されます。

4 条例主義
条例主義とは、職員の給与は条例で定めること(地公法24条5項、地自法204条3項)をいい、給与条例主義ともいわれます。条例に基づかなければいかなる金銭・有価物の支給もできません(地公法25条1項、地自法204条の2)。

この条例主義の趣旨は2つあります。1つは、職員の給与については住民自治の原則に基づいて住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によってこの同意が与えられるということです。もう1つは、職員の給与を保障することです。公務員は労働基本権が制限されているため、勤務条件を保障する制度が必要なのです。

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