22 バリューグラフで住民サービスを見直す

問題解決のためのフレームワーク

1 お悩み
近年、待機児童問題は収まってきましたが、今でも保育園の入園事務は激務です。現在、市では申請書の記入漏れや不足などで事務が煩雑にならないように、職員が書類を確認した上で、申請書を受理しています。しかし、一人一人の対応で時間を要するため、毎年、受付会場では、多くの市民が待っている状態です。このため、郵送申請なども検討したらと課長は言うのですが、「二度手間になる!」と職員からは強い反対があります。このまま、受付事務を見直さなくても良いのでしょうか。

2 解決法
バリューグラフでサービスの目的や価値を問い直しましょう。

バリューグラフは「これしかない」という思い込みを見直し、改めてサービスやアイデアの目的や内容を整理するには有効な方法です。

お悩みで言えば、対面受付が絶対視されていますが、そもそもそれはなぜでしょうか。おそらく「書類不足や記入漏れをなくし、確実に申請書を受け付けること」が目的と考えているからでしょう。しかし、この目的は対面受付以外では不可能なのでしょうか。

現在は不可能かもしれませんが、オンラインで申請書のチェックができれば、電子申請もいずれは可能かもしれません。また、郵送申請もチェックシートなどがあれば、書類の添付漏れを抑えられるはずです。

また、なぜ「書類不足や記入漏れをなくし、確実に申請書を受け付けること」が必要なのでしょうか。それは「住民に対して的確にサービスを提供する」ことが目的と考えられます。それならば、申請書類を簡素化する、申請書の書き方を動画で説明するなど、他の対応も見えてきます。

このように、「これしかない」と限定せず、考え方を広げることができます。

3 活用例
①代替事業を考える
財政状況の悪化等の環境の変化により、既存事業を見直すことがあります。この際、既存事業にはどのような目的があるのか、バリューグラフで構造化し、事業の目的を確認します。その上で、同じ目的で代替事業を検討します。

②事業効果を考える
長年、同様の事業を実施していると、前例踏襲になりがちです。事業開始時には効果が高かったものも、時間とともに低くなってしまうことも少なくありません。ひどい場合には、利害関係者の既得権益化していることもあります。再度、事業効果を見直す場合にも活用できます。

4 ワンポイントアドバイス
事業の目的わかり、またその目的をなぜ行うのかを考えると、さらに上位の目的が見えてきます。反対に、その目的を実現するために別な方法はないかと考えると、別な方法が見え、視野も広がります。

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