具体的な文書・資料の作成方法について説明する前に、理解しておいてほしい点があります。それは、この文書・資料の作成方法に「唯一の正解」はないということです。例えば、上司から「今日の係会の議事録を作成して」と頼まれたとします。この時、特に係内で書式やフォーマットが決まっていなければ、係員A と係員Bでは別の議事録が作成されることとなります。
しかし、この議事録に「正解」はありません。もちろん、「係員Aの議事録の方が見やすい」などの評価はあるかもしれませんが、「これが議事録の正解」と呼べるような「唯一無二の議事録」などないのです。「見やすく、わかりやすい議事録」はいくつも存在しますが、「唯一の正解」は存在しないわけです。すべての係員が「これで十分理解できる」と判断するなら、どのような議事録でも構わないわけです。
ただし、それは自分勝手に作成すれば良いということではありません。なぜなら、「見やすく、わかりやすい議事録」には、ある程度の共通点があるからです。そのような共通点を無視しては、やはり「見やすく、わかりやすい議事録」にはならないでしよう。
その共通点とは、例えば、5W1Hが明確になっている、会議の結果や発言の要旨が一目でわかるなどです。それが、文書・資料の作成方法のポイントとなるわけです。そうしたポイントについては、次項以降で説明していきますが、それをどのように活用するのかは、書き手の判断によります。
つまり、文書・資料の作成にあたって大事なことは、「自分なりの文書・資料の作成方法を構築する」ことにあります。様々な文書・資料作成のポイントを理解・把握した上で、自分なりのテクニックを構築するわけです。自分なりのテクニックができれば、どのような文書・資料でも短時間で作成できます。そうすれば、効率的に業務を進めることが可能となるのです。
なぜ、このようなことを説明したのかというと、あまりにも「正解」を求める職員が多いからです。実は、この文書・資料の作成方法について、ある自治体で 5年以上にわたり研修を行っているのですが、必ずと言っていいほど「正解」を求められるのです。
研修では、演習として、研修生にテーマを与えて文書・資料を作成してもらいます。その後、「私だったら、このような資料を作成します」と示します。そうすると、研修生は「これが唯一の正解」と考えてしまうのです。しかし、それは違うのです。読み手にとってわかりやすい文書・資料を「正解」とするなら、「正解」は複数存在するのです。以上を踏まえた上で、文書・資料作成のポイントを理解・把握し、自分なりのテクニックを構築するようにしてください。
コメント