1 概 要
①財政調整基金は、自治体の年度間の財源の不均衡を調整するための基金。
②減債基金は、地方債の返済を、年度を越えて計画的に行うための基金。
2 財政調整基金とは
自治体の財政状況は絶えず変更するものです。不況により税収が落ち込んだり、施設建設により多額の経費が必要になったり、といろいろな変化があります。しかしこうした状況の変化に、予算規模が毎年度、大きく変動していては安定した財政運営を行うことはできません。
このため、自治体では財政調整基金を設置し、財源が不足する際には基金を取り崩して活用し、財源に余裕のある時は積み立てを行います。
地方財政法では、当該年度に余裕財源があるときには積み立てや、地方債の繰上償還の財源にあてることを義務付けています(地財法4条の3・1項)。また、決算上剰余金を生じた場合には、翌々年度までに1/2をくだらない金額は、積立てまたは地方債の繰上償還の財源にあてなければならない(地財法7条1項)。
こうした積立金については、以下の場合に活用できます(地財法4条の4)。
①経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合において当該不足額をうめるための財源に充てるとき
②災害により生じた経費の財源又は災害により生じた減収をうめるための財源に充てるとき
③緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるとき
④長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充てるとき
⑤償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てるとき。
また、基金の運用は確実な方法によって行い、運用益をすべて積立金に繰り入れる必要があります(地財法4条の3・2項、3項)。
なお、財政調整基金の残高は、標準財政規模(一般財源ベースで自治体の標準的な財政規模)の10%が適正とも言われています。
予算編成との関係で言えば、当初予算を編成する際には、財政調整基金からの繰入を計上し、実際に税収増や繰越金の確定に伴い、予定していた繰入が必要なくなった場合は、補正予算で基金に積み立てを行ったりします。
3 減債基金とは
減債基金は、地方債の償還のための資金を基金として積み立てることにより、財政負担の平準化を図ろうとするものです。
例えば、地方債を起こしたときにその返済方法が満期一括償還の場合には、満期日にまとめて返済する必要があります。
しかし、その場合は一度に多額の資金が必要となりますので、自治体の負担が大きくなります。このため、自治体は毎年、一定の額をこの減債基金に積み立て、満期日に備えるのです。
平成21年4月14日の総務省自治財政局地方債課長通知「地方債の総合的な管理について」の中では、減債基金について、以下のように記述されています。
2 地方債の償還について
(1)減債基金の積立て及び活用
① 減債基金への計画的な積立て
将来の償還財源の計画的な確保、資金の流動性の向上、償還確実性に対する市場の信認の一層の向上等を図る観点から、各団体における地方債現在高の状況及び公債費負担の今後の見通しに応じて、計画的な積立てを行われたいこと。
② 満期一括償還地方債に係る積立ルールの標準化
満期一括償還地方債の元金償還に充てるための減債基金への積立てについては、実質公債費比率の算定上、毎年度の積立額を発行額の30分の1(3.3%)として設定していることを踏まえ、適切に対応されたいこと。
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