18 文書・資料の効果的な説明方法①

文書・資料作成術

「4 文書・資料の役割と機能」の項で、「文書・資料の機能は、口頭での説明が不要になること」と指摘しました。的確にまとめられた文書・資料であれば、いちいち口頭で説明する必要がなくなるからです。しかし、実際には、資料を渡すだけというケースは少なく、何かしらの説明をするのが一般的です。そこで、せっかく作った文書・資料をどのように説明すれば効果的になるのか、その注意点をまとめてみたいと思います。

第一に、「説明の時間は限られている」ということです。上司の報告であれ、住民説明会であれ、どのような場面でも説明する時間は限られています。もちろん、上司への報告時間などが、予め定められていることは稀と思います。しかし、ダラダラとした長い説明や、ただ数語のざっくりとした説明では、説明の聞き手は不快に感じてしまいます。

説明時間が決められていなくても、「どの程度で話すべきか」は、話し手が前もって考えておくことが必要です。首脳部への説明や住民説明会などであれば、事前に原稿を準備しておくことも有効です。また、反対に、忙しくて時間がない上司などの場合、エレベーターで移動する間に説明するようなこともあります。状況に応じた説明時間を考えることが必要です。

第二に、「資料にない説明で相手の気を引く」です。文書・資料を説明すると、最も多い聞き手の反応は「書いてあることをそのまま説明しているけれど、そんなことは読めばわかるよ」です。渡した文書・資料をただそのまま読み上げるのでは、それは説明ではなく、単なる音読です。これでは、効果的な説明とは言えません。

文書・資料には書いていないネタを説明に混ぜると、聞き手は引き込まれます。具体的には、資料に書き込むほどではないけれど、聞き手がついメモをしたくなるような内容です。これらを織り込むことで、聞き手を引き付けるわけです。なお、高齢者や障害者などのハンデがある方の場合は、かえって、そのまま読み上げた方が良いこともあります。文書・資料から離れた説明では、混乱してしまうことがあるからです。

第三に、「相手に応じて資料・説明を使い分ける」です。「3 文書・資料の目的を明確にする」で触れたとおり、同じ内容を説明する場合でも、誰が読み手なのかで、資料の内容などが変わってきます。それと同様に、説明も変わってきます。

例えば、自分の課の事業については、他の複数の課へ説明するとします。この場合、「来年度から、福祉課では、取り扱う補聴器の製品を変更します。高齢者対象のサービスが変更することとなりますので、場合によっては、障害者福祉課には障害者の方から問い合わせがあるかもしれません」と資料に書かれていない説明を加えれば、他課である障害者福祉課の職員も、「自分の課に影響するのだな」とより関心を持って説明を聞いてくれます。

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