35 定年制

地方公務員法

1 概 要
①地方公務員には定年制があり、令和5年4月より段階的に年齢が引き上げられる
②令和5年4月より、役職定年制・定年前再任用短時間勤務制が導入される
③定年制の例外として、特例定年がある。

2 定年退職
職員は、定年に達したときは、定年に達した日以降おける最初の3月31日までの間で、条例で定める日(定年退職日)に退職するものとされています(改正地公法28条の6第1項)。

また、同条2項で職員の定年は原則として国の職員の定年を基準として条例で定めることとされており、この規定に従い、国家公務員法81条の2により、一般的には60歳、医師・歯科医師は65歳、用務員などの単純労務職員については63歳となります。

しかし、令和5(2023)年度から、段階的に定年が引き上げられます。

  原則 現行特例定年①(病院等の医師等) 現行特例定年②
(守衛・用務員等)
(a) (b)以外の医師等 (b) 一部の医師等(例)
現行 60歳 65歳 65歳 63歳
令和5年4月~令和7年3月 61歳 65歳 66歳 63歳
令和7年4月~令和9年3月 62歳 65歳 67歳 63歳
令和9年4月~令和11年3月 63歳 65歳 68歳 63歳
令和11年4月~令和13年3月 64歳 65歳 69歳 64歳
令和13年4月~【完成形】 65歳 65歳 70歳 65歳

このように定年制を定める目的は2つあります。

第一に、職員の新陳代謝を計画的に行うことで組織の活力を確保し、これにより公務の能率の維持を図ることです。採用とともに退職についても計画的に行うことで、組織の活性化が図ることができます。

第二に、定年までの勤務を保障することで、これにより公務に専念することができることです。定年制の実施に伴い、職員は定年までの勤務が保障され、生活設計をより明確にすることが可能となったのです。

3 役職定年制
(1)内容
定年の段階的引き上げと同様に、令和5(2023)年4月より管理監督職勤務上限年齢制(役職定年制)が導入されることとなっています(改正地公法28条の2)。これは、組織の新陳代謝を確保し、特例定年組織活力を維持することが目的です。

役職定年制とは、管理監督職の職員で、管理監督職勤務上限年齢(原則60歳)に達している者を、管理監督職勤務上限年齢に達した日の翌日から最初の4月1日までの期間(異動期間)に、他の職(管理監督職以外の職等)に異動させるものです。

管理監督職勤務上限年齢に達している者を、異動期間の末日の翌日以後、新たに管理監督職に就けることはできません。また、管理監督職から降任等をされた職員の場合は、その日以後、新たに管理監督職に就けることはできません。

なお、任期付職員等、任期を定めて任用される職員には適用されません。

(2)特例任用
以下の①~③のいずれかに該当する管理監督職勤務上限年齢制の対象職員については、他の職に異動することで、公務の運営に著しい支障が生ずる場合には、1年単位で異動期間を延長し、引き続き管理監督職を占めたまま勤務させることができます。

Ⅰ 職務の遂行上の特別の事情等がある場合の特例任用(改正地公法第28条の5①)
① 職員の職務の遂行上の特別の事情がある場合(特別なプロジェクトの継続の必要がある場合など)
② 職員の職務の特殊性によりそのポストの欠員の補充が困難である場合(特殊な技能が必要な職務、へき地の職務など)
⇒  もともと就いていた管理監督職に引き続き留任させることができる。(最長3年まで延長可能)

Ⅱ 特定管理監督職群の特例任用(改正地公法第28条の5③)
③ 特定の管理監督職グループ(職務の内容が相互に類似する複数の管理監督職で、職員の年齢別構成その他のこれらの欠員を容易に補充することができない特別の事情があるもの)に属する管理監督職を占める場合
⇒  もともと就いていた管理監督職に引き続き留任させるか、同一の管理監督職グループに属する他の管理監督職に降任又は転任することができる。(定年退職日まで(最長5年)延長可能)

4 定年前再任用短時間勤務制
定年前再任用短時間勤務制とは、60歳に達した日以後定年前に退職した職員について、本人の希望により、短時間勤務の職に採用することができる制度です。

定年引上げにより65歳までフルタイムで勤務することを原則とする中、60歳以降の職員の多様な働き方のニーズに対応するため、60歳以後に退職した職員を、本人の意向を踏まえ、短時間勤務の職で再任用することができるようにするものです。

任期は、常勤職員の定年退職日に当たる日までです(勤務時間、給与の仕組み等は、現行の再任用制度(短時間勤務)と同様。)。

5 特例定年
定年の原則には特例があります。これは、職務と責任の特殊性がある、または欠員補充が困難場合で、国の基準として定年を定めることが実情に即さないときは、地方公共団体の条例で別の定めをすることができるとされています(改正地公法28条の6第3項)。

具体的には、欠員補充が困難なへき地の医師、歯科医師、保健師について、60歳(現行)より上の年齢を定年とするなどのケースです。


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