6 答弁とは何か② ~答弁の内容は、議員の成果と見られる~

議会対策

議会における、議員の質問に対する答弁。この特徴の1つに、「答弁は、議員の成果と見られることがある」という点があります。

具体的には、次のようなものです。議員が、「現在、市内のA地区は、他と比べて市立公園の数が少ない。このため、地域住民からは、公園を求める声があがっている。公園は、災害時にも有効であることから、A地区に新たに公園を整備してはどうか」のよう質問があったとします。

この時、仮に当局が「検討します」と答弁したとします。そして、後日、実際にA地区に公園が整備されることが決定されました。こうなると、当該議員は、「私が質問した(もしくは、提案した)ことにより、公園が整備されることになった」と、自分の成果のようにアピールするわけです。

つまり、「A地区に公園整備をすることを検討します」との答弁を当局側から引き出し、実際にそれが実現したのは、自分のおかげだというわけです。これは、議員からすれば、住民に対してわかりやすいアピール材料になるでしょう。住民からすれば、答弁を引き出したことは、議員の成果のように思えるからです。

しかし、ある程度の経験をした職員の方なら、おわかりかと思いますが、実際には、そんな単純な話ではありません。おそらくA地区に公園が不足していることは、担当部署であるならば、以前から知っていたはずです。ですから、当該議員の発言が公園整備のきっかけになったわけではないのです。

実は、これまでも他の議員からも同様の質問があったかもしれません。しかし、当時は適地がなく、「現在、整備の予定はありません」などと、断る答弁しかできませんでした。しかし、ようやく適地が見つかり、たまたまその時に議員から質問があったので、「検討します」と舵を切った答弁ができたということも少なくないわけです。

ですから、議員の質問によって、公園が整備されることになったわけでなく、偶然にもタイミングが重なったというわけなのです。このため、当該議員の成果とは、本当は言えないこともあるのです。実際は、そうしたケースがほとんどでしょう。

しかし、反対のケースもあります。当該議員の手柄にするために、わざわざその質問をしてもらうように仕向けるのです(当局が仕込むのです)。例えば、その議員が、国政選挙に出馬するため、わざとアピールできるような質問をさせるわけです。なぜ、そんなことをさせるのかは、また、別な機会に書きたいと思います。

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