ここでは、4章構成における2章の問題点の書き方について説明します。4章構成では、2章で問題点を、3章で解決策を書きますので、この2章と3章はセットで考える必要があります。
一般的に、問題点をA、B、Cと3点指摘したのであれば、解決策はA‘、B’、C‘となります。つまり、問題点それぞれに対応した解決策を述べるわけです。しかし、解決策をX、Y、Zとし、それにより問題点A、B、Cが解決されるという方法も考えられます。
具体的には、Xを実施すると、問題AとBの一部が解決するようなものです。しかし、そのように記述することはありません。これは採点官にとって、わかりにくいものとなってしまうからです。
<ポイント>
問題点の書き方
①リード文(問題点の総括)
②それが問題点と言える理由(まず~、また~、さらに~)
③問題点によって生じる影響(これでは~)
問題点の記述例は、以下のとおりです。
<係長論文・テーマ「成果を高める係運営」>
第一に、職員一人ひとりの能力を活かせていないことである。まず、現在、年度当初に面接が実施されているものの、業務目標が十分に共有されないなど、面接には形式的な面が見られる。また、職員の62 %が「上司とのコミュニケーションが十分ではない」との職員アンケートの結果もある。さらに、職場では職員同士で十分に話し合う時間がなく、職員の意見が業務に反映されず、事務改善も十分に行われない。これでは、職員が能力を発揮することは困難であり、成果を高める係運営は困難である。
1 問題点の書き方の構成
上記の問題点を分類すると、以下のようになります。
①リード文(問題点の総括)
②それが問題点と言える理由(まず~、また~、さらに~)
③問題点によって生じる影響(これでは~)
問題点を指摘するのですから、「なぜそれが問題と指摘できるのか」の理由を論理的に説明しなければなりません。
ここでは、職員アンケート結果は統計データであり、客観的な事実として示すことができます。それ以外の2つは、事例です。簡単に言えば、「私が見た」もしくは「私が知っている」事例を、理由として挙げているわけです。
2 問題点指摘に活用できる材料
このように、問題点を指摘する際には、その理由を説明する必要があります。その際に活用できるのは、次のようなものがあります。
①統計データ、事例
②マスコミ報道(事件や事故の発生など)
③研究者の意見(〇〇教授は「職場の成果は、職員間のコミュニケーションが大きく影響している」と述べたなど)
④他自治体の状況( △△市は、フリーアドレスの導入により成果が高まったなど)
また、最後の「問題点によって生じる影響」では、こうした問題点がテーマに与える影響について説明しなければなりません。
さらに、問題点の理由を述べず、問題点を放置することによる弊害・不利益を述べるという方法もあります。
先の例で言えば、「職員の能力が活かされないと、事務改善が行われずに前例踏襲で事務が行われてしまう。また、新たな課題に対応することも困難となる」などです。いずれの方法にしても、問題点が、確かに行政上の問題であることを説明する必要があります。
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