仕事は、単に与えられた事務作業を処理すれば良いというものではありません。自分以外の他の職員に働きかけて、こちらが考えているように動いてもらうことも、円滑な業務遂行には大事です。そのための技術の1つが、根回しです。
例えば、自分の係が中心となって実施するイベントがあるとします。その開催にあたり、他の係や関係する部署の職員に、様々な役割を担ってもらう必要があります。その役割分担を決定するため、会議を開催することになりました。
このような時、会議当日に初めてその役割分担の案を提示するとなると、出席した他の職員から「うちの係だけの負担が大きい」、「この時間帯は、別な業務があって協力できない」など、異論が出てしまうことがあります。場合によっては、せっかく会議を開催したのに、役割分担の案を作成した事務局に不信感を抱いてしまう可能性さえあります。
このような事態を避けるためにも、事前の根回しが有効です。例えば、会議前の案ができた段階で、出席者に説明に行き、了解を得るのです。この事前の根回しの中で、「この時間帯は難しい」などの出席者の事情が判明すれば、役割分担を見直すことができます。その見直し案で、再度、出席者の意向を確認しにいくわけです。そうすれば、会議開催前に出席者全員が納得する案ができます。これで、会議は単に確認する場となり、揉めることはありません。
このように、根回しは円滑に仕事を進めるためには、大事な技術です。人によっては、「根回しで決まってしまうならば、会議の意味はないのでは」と思うかもしれません。確かに、上記のようなケースで、関係者全員が納得する役割分担が完成すれば、あえて開催せずに、メールを送付するだけで十分かもしれません。
また、どうしても関係者間で調整ができず、会議を開催して、その場で話し合って決めるということも必要なことも当然あるでしょう。
大事なことは、根回しによって「発生するかもしれないトラブル」の芽を摘むことができることです。先のケースでも、もしかしたら最初に作成した役割分担で関係者全員が了承するかもしれません。しかし、それは根回しで事前に確認したり、会議を開催しなければ、関係者の意向はわかりません。関係者の中で異論がある人がいるかどうか、わからないからです。
これは、会議を主催する事務局にとっては危険です。会議で議論百出となってまとまらないと、円滑に業務が進行せず、中断してしまう可能性もあるからです。こうした危険因子があるならば、事前に取り除いておいた方が、後で余計な時間を取られずに済みます。このように、根回しはトラブルを避けるためには、とても重要なのです。
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