8 敬語の使い方

文書・資料作成術

既に、皆さんはご存じだと思うのですが、敬語とは、話の主題となる人物・話し相手に対して、敬意を示すために用いられる言語表現です。これまで、敬語は次の3種類に区分されてきました。

①尊敬語・・・相手や第三者を敬う例)「なさる」「られる」
②謙譲語・・・自分をへりくだる例)「参る」「申し上げる」
③丁寧語・・・丁寧な言い回し例)「です」「ます」

しかし、2007年2月に文化審議会国語分科会から「敬語の指針」が答申され、上記の3種類から5種類となりました。従来の謙譲語は謙譲語Iと謙譲語Ⅱ (丁重語)に、従来の丁寧語は丁寧語と美化語に区分されました。これにより以下のような整理となりました。 

①尊敬語
相手側または第三者の行為・ものごと・状態について、その人物を立てて述べるもの
例)「なさる」「られる」

②謙譲語I
自分側から相手側または第三者に向かう行為・ものごとについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの
例)「申し上げる」「ていただく」

③謙譲語Ⅱ (丁重語)
自分側の行為・ものごとを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの
例)「いたす」 弊社などの「愚/小/拙/弊+名詞」

④丁寧語
話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの
例)「です」「ます」

⑤美化語
ものごとを、美化して述べるもの 
例)お酒などの「お(ご)」

さて、公務員の文書・資料と敬語との関係です。一般的に、役所内で使用する文書・資料では敬語は用いませんが、住民向けでは使用することがあります

例えば、役所の会議で使用する資料では、「ご高齢の方」とは言わず「高齢者」と表記します。また、文末も「です」「ます」の敬体ではなく、「~だ」「~である」の常体を用いることになります。さらに、担当者を示す場合などに「本事業は総務課に担当していただく」ではなく「本事業は総務課が担当する」などとなります。 

しかし、住民向けの文書・資料で、このように敬語を用いないと、いわゆる「上から目線」の表現となってしまい、住民から苦情が出てしまいます。このため、①住民向けの通知文・案内文、② HP、③ FAQ、などでは敬語を用います。

なお、住民向けに制度の変更などをお知らせする場合があります。そのような時には、住民向けの通知文書は敬語を用い、制度変更を記載した別紙は敬語を用いません。別紙は、例えば、手数料の改定、施設の利用方法の変更などですが、これらは敬語を用いると、かえってわかりにくくなってしまいます。

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