38 予算要求

自治体財政

1 概 要
①予算の経費は、既定経費と政策的経費に分類できる。
②予算要求にあたっては、既定経費と政策的経費でそれぞれおさえておくべきポイントがある。

2 既定経費と政策的経費
予算編成方針が示され、予算説明会が終わると、事業課は来年度の予算要求に向けての動きが本格化します。

予算は経費によって、大きく既定経費と政策的経費に分かれますが、予算の見積りにあたっての動きはやや異なります。既定経費とは、既に予算化されているもので、現行の事業を実施するに必要な経費です。政策的経費とは、新規事業や一時的、臨時的な経費です。

3 既定経費の要求のポイント
既定経費の要求のポイントには、次のようなものがあります。

(1)事業の必要性の検証
既定経費は、既に実施している事業ですから、どうしても「この事業の予算は、前年度と同じで良いや」と安易な見積りになりがちです。しかし、何の考えもなく、同じような予算要求では、財政課のヒアリングで説明することができません。

やはり、毎年度「この事業は必要なのか」「どの程度必要なのか」を検証することが必要です。例えば、他の部署で同じような事業を実施しはじめた、市民アンケートを見ると市民の満足度が下がっている、など、様々な点から事業の必要性について検証することが必要です。

(2)改善点の検証
同じ事業を実施するにしても、方法を変えれば、経費を抑えられたり、効率的に実施できたりする場合があります。予算見積りにあたっては、どうしても「予算をいかにおさえるか」という視点だけに陥りがちですが、必ずしもお金だけの問題ではありません。

この予算要求を機会として、係や課として、事業のやり方を見直すことも必要となります。実は事業を民間委託した場合、経費としては必要となりますが、職員が他の事務に従事でき時間外手当が削減でき、結果として経費としても安く済んだということもあるかもしれません。

4 政策的経費の要求のポイント
次に、政策的経費の要求のポイントです。

(1)事業の必要性、事業効果の検討
政策的経費は、新規・臨時事業ですから、なぜその事業が必要なのかを説明することが求められます。

「○○市で同様の事業を実施し、効果を挙げている」「住民アンケートによって、△△の事業が求められている」「A事業でもB事業でも対象とならない住民への対応として、この事業が必要だ」などの理由が必要です。

(2)必要経費の検討
限られた財源の中で事業を実施するわけですから、必要最小限の経費で実施する必要があります。このため、どのような経費が必要なのか、厳しくチェックする必要があります。

「どうせ予算は削られるから、少し大目に要求しておけば良いや」というような姿勢では、財政課も真剣さを疑ってしまいます。真に必要な経費を計上する必要があります。

また、実施方法が異なれば、必要経費も異なってきます。どのように実施すれば経費を抑えられるのか、または事業効果を高めるためにはどのように実施したら良いのかの検証も必要です。

(3)後年度負担の検討
単年度事業であれば別ですが、複数年実施するものについては、いつまで実施するのか、どのような状況になったら止めるのかを示すことが必要です。

いくら経費が多額でなくても、毎年度実施する事業であれば、トータルの経費は多額となってしまいます。短期的視点でなく、長期的視点で考えることも重要です。


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