その職員と話すのではなく、その職員の机を見ただけで「これは、困った人だなあ」と感じてしまうことがあります。そうです、机に書類が山積みになっている人です。
最も多いのは、自分の机の両端に、山のように書類が積まれているタイプです。しかし、もっとひどい場合には、机全体が書類で覆いつくされていて、パソコンのモニターやキーボードも、それに埋まってしまっているようなこともあります。このため、パソコン操作する前には、そうした書類の山を取り崩して、まずはスペースを確保するのです。
こうした職員の毎日は、まずは机の上で雪崩状態となっている書類を直すところから始まります。何せ書類の山は高くそびえ立っていますので、毎朝、だいたい崩れた状態になっています。崩れる理由は、終業後の清掃業者による嫌がらせなのか、心霊現象なのかはよくわかりませんが、毎朝、確実に崩れているのです。
さすがに、いつもそうした崩れた書類をなおすのは面倒だと思うのですが、直している当の本人は、それほど苦である素振りもなく、平気な様子で毎日のルーティーンをこなしています。……だからこそ、片づけられない人であり続けられるのでしょう。
さて、片づけられない人が困るのは、その被害が周囲の職員にも及ぶことです。その最たるものは、この職員の後任者となった場合でしょう。引き継ぎしようにも、書類がどこにあるのか、そもそもよくわからないということも少なくありません。
ひどい場合には、机にあった書類の山を段ボールに放り込み、「この箱の中に、関係書類が入っているから、後で探しておいて」などと言い放つ輩がいることです。こんな時は、自分の運のなさに神仏を呪いたい気持ちになってきますが、それと同時にかすかな殺意が芽生えても、きっと神仏はお許しになってくれるはずです。
公務員の場合、個人の役割分担が明確なので、このように1人の職員が書類を抱え込んでしまうことは少なくありません。最近では、紙資料も電子ファイル化され、ペーパーレス化が推進しています。このため、一昔前と比べて、こうした片づけられない人は減少傾向にあるようですが、それでも「紙じゃなきゃダメ」という熱烈な「紙信仰」の人も健在です。
仮に、こうした人が同じ係内にいたら、自分への被害を最小限にするには、いくつかの工夫が必要です。1つは、係の共有資料などは、厳密なルールを作り、書類の山に紛れ込まないようにすることです。「キャビネットに何を収納するか」などは、年度当初に決めておいた方が安心です。
もう1つは、係長や課長などの上司から注意してもらうことです。書類を紛失したりすれば、それは職場の事故です。これは、本人だけの問題でなく、管理監督する者の責任にもなります。このため、「先日、〇〇さんに書類を渡したんですけど、無くされてしまったんです」など、実際の問題点と一緒に伝えておけば、上司もそのままにはしておかないでしょう。
ちなみに、ある職場で、書類の山の中から、虫の死骸が発見されたことがありました。発見と同時に、女性からは悲鳴が上がるなど、なかなかの騒動だったそうです。この結果、周囲の職員の強い意向で、山は強制的に取り崩され、無事に平地に戻ったそうです。しかし、しばらくの間は、その職員に対する周囲の職員の目は、とても厳しかったとか……
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