9 マトリックス図で複数の視点で整理する

問題解決のためのフレームワーク

1 お悩み
防災課長が「東日本大震災から時間が経過しており、市民の防災意識が低下していることが市民世論調査からわかった。何か良い対策はないだろうか」と課内会議で言いました。これに対して職員から「講演会の実施」、「啓発DVDの作成」、「新たな防災訓練の実施」など、多くの意見が出されました。すると、課長から「では、これらの案を比較検討して1案に絞ってほしい」との指示があったのですが、どのような資料を作成すれば良いでしょうか。

2 解決法
マトリックス図を用いて、複数の視点で整理しましょう。

マトリックス図とは縦横の行列形式の表のことで、エクセルなどの表計算ソフトをイメージすればすぐにわかると思います。

お悩みであれば「講演会の実施」、「啓発DVDの作成」、「新たな防災訓練の実施」の3案を並べます。縦には、比較する視点として「メリット・デメリット」、「経費見込」などを掲載します。これにより、各項目について評価が可能となります。

3案につき、それぞれ3つの視点で評価すれば、9つの評価ができ、総合的にどれが良いかを判断しやすくなります。評価方法としては、文章以外にも、「○・△・×」、0~5点満点の点数化などが考えられます。点数化した場合には、合計点の欄も設けておくと、1案に絞った理由がより明確にできます。

もちろん、恣意的な評価では資料の信頼性は失われてしまいますので、客観的に判断することが必要です。

3 活用例
①制度やサービスの不足点を見つける
例えば、一般的に支援が必要とされる「高齢者」、「障害者」、「生活保護受給者」を縦に並べ、横に「日常生活支援」、「経済的給付」、「入所施設」などのサービス項目を並べます。これにより、現在実施しているサービスを一覧にして整理することができると共に、不足しているサービスを見つけることができます。

②人事評価
人事評価は絶対評価と相対評価に分かれます。この時、絶対評価が低い職員を職員が高い職員よりも、相対評価で上に位置付けてしまうミスを犯してしまう管理職がいます。このミスを避けるためには、絶対評価の項目である①能力、②執務態度、③業績、④①~③の合計点を、職員別にマトリックス図にします。そして、④の高い順番に職員を並べれば、間違えることがありません。

4 ワンポイントアドバイス
マトリックスは、もともと「母体・基盤」のことで、「生み出すもの」を意味します。ただし、一般には数学の行列を指します。

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