1 概 要
住民監査請求とは、住民に損害をもたらすような、長、職員の違法、不当な行為を制限、禁止すべき措置を請求する権利をいい、その措置に不服があるとき、住民訴訟を提起できる
2 住民監査請求とは
住民監査請求とは、住民に損害をもたらすような、長、職員の違法、不当な行為を制限、禁止すべき措置を請求する権利をいいます。
これは、住民1人でも請求でき、違法、不当な公金支出、財産の取得、処分、契約の締結等の行為について、その防止、是正、その他必要な措置を講ずべきことを監査委員に請求できます。
監査委員は、理由があると認めるときは、自治体の機関に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができます(自治法242条)。
請求の手順としては、事由を証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、①当該行為の防止・是正、②当該行為を怠る事実を改める、③損害の補填、などの必要な措置を講ずべきことを請求できます。
ただし、この請求は正当な理由がある場合のほかは、当該行為のあった日又は終わった日から1年以内とされています。監査委員は、この請求に基づき監査を実施します。
請求に理由があると認める時は、必要な措置を講じるよう期間を示して勧告し、その内容を請求人に内容を通知すると共に公表します。
また、監査委員の勧告を受けた議会、長等は、必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければなりません。この場合、監査委員は、当該事項を請求人に通知し、かつ公表することとされています。
3 事務の監査請求と住民監査請求との違い
事務の監査請求とは、行政の実態を明らかにするため、監査委員に特定の事務について監査を請求するものです。
選挙権を有する50分の1以上の連署をもって、監査委員に対し、監査を請求することができます。この請求があったときは、監査委員は監査を行い、その結果の報告等を行います。
住民監査請求との違いは以下のとおりです。
事務の監査請求 | 住民監査請求 | |
請求権者 | 有権者の50分の1 | 住民1人でも可 |
請求の対象 | 自治体の事務及びその機関の権限に属する一切の事務 | 自治体の職員による違法または不当な公金の支出等 |
請求の目的 | 責任の所在の明白化 | 地方財政運営の健全化 |
監査の結果 | 請求代表人に通知し、公表するとともに、執行機関等に報告 | 請求人に通知し、かつ、公表。請求に理由があるときは、執行機関等に必要な措置を勧告 |
監査の結果に対する訴訟 | 不可 | 一定の要件のもとに可 |
4 住民訴訟
住民は、監査の請求に基づいてとられた措置に対して不服があるときは、訴訟を提起することができ、これを住民訴訟といいます。
当該住民は、①監査の結果または勧告に不服があるとき、②勧告を受けた機関または職員の措置に不服があるとき、③監査委員が期間内に監査または勧告を行わないとき、④勧告を受けた機関または職員が示された期間内に必要な措置を講じないときに、裁判所に対し、①当該行為の全部または一部の差し止め、②当該行為の取消または無効確認、③怠る事実の違法確認、④当該職員に対する損害賠償または不当利得の返還の請求、をすることができます。
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