59 問題発見の視点③ 監査・外部評価からの指摘 

問題解決のためのフレームワーク

議会と同様に、執行機関に問題提起をしてくれる機関として、監査や外部評価があります

監査は、一般的に監査委員による内部監査と、公認会計士や弁護士などの外部の専門家と個別に契約して行う外部監査があります。また、行政評価制度も、職員自身が行う内部評価と、大学教授や民間企業の有識者などが行う外部評価があります。

ここでは、内部監査・外部監査・外部評価を取り上げます。これらに共通して言えることは、自治体職員以外の外部の有識者等から問題提起がされることです。こうした指摘について、注意すべき点について考えてみたいと思います。

まず、公式の報告書です。言うまでもありませんが、監査であれ外部評価であれ、最終的には報告書にまとめられて当該課へ通知されます。また、対外的に公表され、住民の目にも触れることになります。この報告書が正式な監査や外部評価の結果となりますので、職員としてこれに着目するのは当然のことです。

次に、各種委員との会話から得られる気づきです。監査や外部評価では、これが特に重要です。いずれの場合でも、一般的には担当者や課長へのヒアリングや意見交換が行われて、報告書がまとめられます。この際、外部の専門家などは、役所の現状や事情を十分に把握しているわけではないので、自治体職員としてはその意見に大きなギャップを感じることが少なくありません。

「そんなこと言われても、できるわけない」「そんな意見は、役所のルールを知らないからだ」と、つい担当者が愚痴を言いたくなることも多いのです。そして、「委員はわかっていない」などと言いがちですが、これは再考する必要があります。

例えば、公認会計士が、「今の担当者の説明など、一般企業だったら通用しない」とあっさりと切り捨てることがあります。それほどまでに、公認会計士は自治体の業務に違和感を覚えている証拠なのです。

もちろん、外部の委員がすべて正しいというわけではなく、現在の自治体の状況から言えば、そうした指摘は現実的に困難と感じることもあると思います。しかし、この時に「そんなことは無理だ」とはねつけるのでなく、「専門家からすれば、そう考えるのだな」と考えの違いを認識することが大事になるのです。そのように一歩引いてみることで、今後の改善に結びつくことになります

ちなみに、担当者が事務手順などを外部の専門家に説明する時に、実は単なる前例踏襲だったり、実は実際の根拠規定とは違っていたりすることもあります。つまり、十分な説明ができないことが、既に問題が発生していることを教えてくれることもあるのです。

さらに、専門家の意見は、企業の最新のトレンドやトピックを反映していることもあり、役所が時代遅れであることもあります。例えば、在宅勤務はなかなか自治体では進みませんが、企業では残業代や交通費の削減、従業員のメンタルヘルスなどの視点から、積極的に導入されています。このようなギャップを認識することが、業務改善のヒントになります。

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