これまで述べてきたフレームワークは問題解決の思考法ですが、具体的にはいくつかの種類に分けることができます。その代表が、ロジカルシンキングとラテラルシンキングです。
ロジカルシンキングとは、論理的思考です。筋道を立て、論理的に解答を導き出すもので垂直思考とも言われます。物事を分類、整理、具体化していくものです。
これに対して、ラテラルシンキングとは、前提や既成概念などにとらわれない、自由奔放な思考です。多様な視点から物事をとらえ、考え方の可能性を広げるもので水平思考とも言われます。言葉だけでは少しわかりにくいので、実際の例で説明しましょう。
<問 題>
ここに13個のオレンジがあります。これを3人に等しく配分するには、どうしたら良いでしょうか。
これをロジカルシンキング(論理的思考)で考えると、
①4個ずつ分けて、余った1個を3等分する
②秤を使って、同じ重量に3等分する、などの考え方になります。
しかし、ラテラルシンキング(水平思考)では、
①13個のオレンジをすべてジュースにして3等分にする
②余った1個のオレンジの種を土に植え、実になったら等しく配分する、などとなります。
これまでのロジカルシンキングの発想だけにとらわれていると、このような発想は出てきません。人によっては「だまされた!」「それは突拍子もない考え方だ」などと感じるかもしれませんが、決して間違いでも、だましているわけではありません。問題に対して的確に答えていることは、おわかりいただけるかと思います。
このように、論理的思考では発想できない解答を導くのが、水平思考であるラテラルシンキングです。これは、単なるクイズやなぞなぞではありません。現在、こうしたラテラルシンキングが求められている背景には、ロジカルシンキングだけでは解答が導くことが困難な課題が多くなっていることが指摘できます。
自治体でも同様に、職員の柔軟な発想が求められています。実際にあった事例ですが、ある市では、人口減少に伴いまちの衰退が加速し、これまでに整備した施設がお荷物となってしまいました。これにどう対応するかが大きな問題となっていました。一般的な発想で考えれば、そうした施設を安く売却するか、早期に解体するなどが選択肢となります。
しかし、この市では、あえて「負の遺産ツアー」を企画して、全国から行政視察や観光客を呼び込んだものです。他市でも、こうしたまちの衰退は「自分事」だったため、このツアーは注目され、人気になったのです。
従来のロジカルシンキングで答えの出ない、様々な行政課題が発生しています。そんな時に、柔軟に発想して対応することが、現在の職員には求められているのです。
コメント