42 政治的行為の制限

地方公務員法

1 概 要
①地方公務員は、全体の奉仕者であるという性格から、政治的な行動については一定の制約がある。
②地方公務員法により職員に禁止される政治的行為は、政治的団体の結成等に関与する行為、特定の政治目的の下に行われる一定の政治的行為、の2つがある。

2 政治的行為の制限とは
地方公務員は、全体の奉仕者であるという性格から、政治的な行動については一定の制約があります。これを政治的行為の制限といいます(地公法36条)。

なお、この規定の適用については、企業職員、独法職員、単純労務職員、教育公務員には特例があります。

3 禁止されている行為
地方公務員法により職員に禁止される政治的行為は、政治的団体の結成等に関与する行為、特定の政治目的の下に行われる一定の政治的行為、の2つがあります

(1)政治的団体の結成等に関与する行為
政治的団体の結成等に関与する行為については、
①政党その他の政治的団体の結成への関与
②政党その他の政治的団体への役員就任
③政党その他の政治的団体の構成員となるよう、またはならないように勧誘運動をすること
の3つについて禁止されています。この禁止は、政治目的の有無を問わず、またいかなる区域であっても禁止されるものです。
 
(2)特定の政治目的の下に行われる一定の政治的行為
特定の政治目的の下に行われる一定の政治的行為における「政治目的」とは、2つに区分できます。

1点目は、特定の政党その他の政治団体・特定の内閣・地方公共団体の執行機関を支持または反対するという目的です。
2点目は、公の選挙・投票において特定の人または事件を支持または反対するという目的です。

上記のいずれかの目的をもって、以下のような行動を行うことが禁止されています。
①公の選挙または投票において投票するように、またはしないように勧誘運動をすること。
②署名活動を企画または主宰する等、積極的に関与すること
③寄附金その他の金品の募集に関与すること
④文書または図画を地方公共団体等の庁舎・施設等に掲示、または掲示させ、その他地方公共団体等の庁舎・施設・資材・資金を利用、または利用させること
⑤上記①~④以外で、条例で定める政治的行為

なお、これについては職員が属する地方公共団体の区域外であれば、①~③および⑤は可能とされており、④についてはいかなる区域でも禁止されています。

4 その他の制限事項
地方公務員法では、職員に対する第三者の働きかけを禁止しています。つまり、政治的団体の結成等に関与する行為、特定の政治目的の下に行われる一定の政治的行為ともに、第三者がこれを行うように、①職員に求める、②職員をそそのかす、③職員をあおること、は禁止されています。

また、職員が政治的行為をしたこと、またはしないことに対して、その代償もしくは報復として、職員の任用・給与等に利益もしくは不利益を与えたりすることなども禁止されています。つまり、禁止されている政治的行為を行うように上司から求められた場合、それに応じなくても懲戒処分の事由にはなりません。

なお、公職選挙法等では、公務員がその影響力を利用して正しい選挙の実施を妨げることのないように、政治的行為の制限を課しています。具体的には、立候補の制限、特定職員の選挙運動の禁止、地位利用の禁止などがあります。

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